2019年9月15日(日)

LINE社長、「アジア戦略で米中巨人に対抗」

2019/6/28 11:30
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LINEの出沢剛社長は日本経済新聞の取材に応じ、金融や人工知能(AI)など新規サービスを既存の対話アプリと組み合わせ、「欧米が取りづらいアジア市場を海外戦略の柱とする」と述べた。NTTドコモとスマートフォン決済事業で提携したが、今後も金融分野などで提携を広げる考えも示した。主なやり取りは以下の通り。

インタビューに答えるLINEの出沢剛社長

――戦略事業と位置づける金融とAIでは新規サービスの発表が相次ぎました。

「金融事業の信用スコアはパーソナライズ化の一環として、生活を便利にする新たな価値を提供したい。点数化は、中国のイメージだと万能、怖い、と言ったイメージがあるが日本は異なる。個人を表す1つの指標として、例えば飲食店の優先予約ができるといったポジティブな活用方法を提案したい」

「AIで電話対応する新サービスも発表した。自然な発音で話すことや、相手の質問の意図を理解して回答するといった部分の開発は時間がかかった。まだ飲食店の予約にしか特化していないため、汎用化にはさらに技術を磨く必要がある」

――AI人材はグループ全体で1000人となりました。

「2016年にAI組織を立ち上げた時は100人程度だった。AI人材は世界で争奪戦が起き海外のテックジャイアントに取られることも多い中、LINEの組織は中国を除くアジアで最大級とも言える。人材を集められる理由は2つある。1つ目は東京都やソウル、台湾などに地の利があるからで、アジアのネットエンジニアが集まりやすい。2つ目は米中以外で積極的に新しい発想に挑む企業が少ない中、挑戦の多いLINEを選んでもらっている」

「スマホが出たばかりの頃の方が、スタートアップでも世の中をあっと言わせるサービスを作れる確率が高かった。今はネット産業は寡占化が進み、お金も情報もテックジャイアントに集まっている。LINEも自社でさらにエンジニアを確保し競争力を高めないと、国境を越えたネットの戦争には勝てない」

――一方で、各社との提携戦略も今後さらに加速するのでしょうか。

「LINEの強みでないところは、その道のプロと共に戦うべきだ。LINEはコミュニケーションとテクノロジーの2軸であれば自社でできるが、金融やAI分野では、今の状況に危機感を感じている企業と取り組む」

「スマホ決済ではメルカリに続き、加盟店開拓や決済の相互開放でNTTドコモと提携した。我々決済事業者は競争はしているが、『現金は敵』という思いは一致している。加盟店など基盤作りで協力していきたい」

――海外ではどのように戦いますか。

「欧米企業が入りづらいアジア市場を取れていることは大きな強みだ。例えばスマホ銀行は既に四カ国・地域で提供している。アジアでは対話アプリの基盤を生かし金融などを提供していくことが今後の海外戦略の柱になる。だがそれ以外にもサービスが広がる可能性はある。兄弟会社の韓国SNOWが開発した、アバターが手軽にできるアプリが世界中で普及した事例もある」

――米フェイスブックがデジタル通貨「Libra(リブラ)」を発表しました。

「詳しい情報を持っていないのでコメントする立場に無い。ブロックチェーン技術の影響はいずれ来ると考えていたので、必然的な動きだと思う。LINEも海外でブロックチェーン(分散型台帳)を使った仮想通貨(暗号資産)を提供しており、それなりの取引がある。日本でも金融庁への仮想通貨交換業の登録が認められれば提供する可能性がある。こうしたサービスが将来、決済や銀行と交わるかはまだ分からない」

(聞き手は吉田楓)

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