2019年9月19日(木)

ロシア、ジョージアに圧力 反ロ運動に対抗
航空便停止やワイン禁輸

2019/6/27 19:59
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【モスクワ=小川知世】ロシアが旧ソ連のジョージア(グルジア)への圧力を強めている。ロシアの議員がジョージア議会で演説したのをきっかけに抗議運動が盛り上がったのを受け、航空便の乗り入れを禁止するなどの対抗措置に乗り出した。ロシアは2008年に親欧米路線を強めたジョージアに軍事侵攻しており、対立がエスカレートする恐れもある。

ジョージア議会近くで「ロシアは占領者だ」とのプラカードを掲げて抗議した市民ら(22日、トビリシ)=ロイター

発端は20日のジョージア議会だった。キリスト教の東方正教会の国際会合で、ジョージアと断交関係にあるロシアの共産党下院議員が議長席に座りロシア語で発言。これがジョージア国民の反ロシア感情をかき立てた。抗議が急速に広がり、若者や親欧米の野党ら1万人が議会に詰めかけた。治安当局がゴム弾や催涙ガスで鎮圧に動き、約240人が負傷、約300人が拘束された。

「ロシアは敵だが、社会の分裂はロシアを利するだけだ」。ズラビシビリ大統領は20日夜に国民に呼びかけたが、抗議運動は沈静化しない。21日には混乱の責任をとり、コバヒゼ議長が辞任する事態となった。

ロシアはすぐに反応した。プーチン大統領は21日、ロシアの航空会社に7月8日からジョージアへの直行便の運航停止を命じる大統領令に署名した。安全確保を理由に国民にジョージアからの退避を勧告し、旅行会社にも同国への旅行の提供を控えるように要請した。ラブロフ外相も25日、ズラビシビリ大統領の発言が「反ロ感情をあおる」と非難し、ロシア国民が危険にさらされるとの警戒感をあらわにした。

ロシアは経済面で圧力をかけ、ジョージアが親欧米にさらに傾くのをけん制する狙いとみられる。18年に約140万人だったロシア人観光客の制限で、ジョージアの観光産業への打撃は必至だ。ホテルなどの業界団体代表は損失が約7億5000万ドル(約800億円)にのぼると推計する。

さらにロシア消費者庁は24日にジョージア産ワインの輸入規制を強化したと発表した。質の劣化を検知したとの理由で政治とは無関係と主張するものの、ロシアは06年にも両国関係の悪化に伴い禁輸した経緯がある。

ジョージアでの抗議運動の矛先はロシアに融和的な政権にも向いた。デモ隊は20日に抗議運動を鎮圧した内相の辞任を要求、野党は議会の解散と選挙の前倒しを訴えている。27日には与党「ジョージアの夢」を率いる富豪のイワニシビリ氏の住宅前へのデモ行進が呼びかけられた。与党に利権が集中しているとの国民の不満が抗議拡大につながったとの見方もある。

ロシアは08年にジョージアの北大西洋条約機構(NATO)加盟の動きを警戒して軍事侵攻した。親ロ派勢力が分離独立を主張する南オセチアとアブハジアに軍を駐留し実効支配を進めている。ジョージア現政権は親欧米を維持しつつ、対ロ関係の回復を探る路線をとっていた。

ロシアは旧ソ連を勢力圏ととらえ、影響下に留め置こうとしてきた。14年には親ロ派政権が崩壊したウクライナの南部クリミアに侵攻し、一方的に併合を宣言した。ジョージアで親欧米の機運が盛り上がることへの警戒は強い。ジョージアに対する圧力を強めるほど、反ロ感情が高まり野党が勢いづくジレンマにも直面している。

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