開門、一段と遠のく 諫早干拓で最高裁「非開門」判断

2019/6/27 19:38
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国営諫早湾干拓事業を巡っては、諫早湾を潮受け堤防で締め切った1997年以降、有明海での漁業被害が表面化したとして、漁業者側が開門を求めて繰り返し裁判で争ってきた。ただ、最近は「非開門」の司法判断が続き、漁業者側には苦しい展開になっていた。

諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門(長崎県諫早市)

諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門(長崎県諫早市)

開門を巡る訴訟は別原告による下級審での裁判などがまだ続いており、今回の最高裁の判断によって、今後絶対に開門されないことが確定したわけではない。ただ、最高裁が初めて「非開門」の結論を出したことは重く、国も開門しない姿勢を鮮明にしていることと合わせ、漁業者側にとっては一段と開門が遠のいたといえる。

漁業者側が開門を求めた訴訟では、干拓事業が完了して営農が始まった2008年に佐賀地裁、10年に福岡高裁がそれぞれ国に開門を命令。民主党政権下だった国は上告せず、判決が確定した。

一方、開門されると農地が海水などで被害を受けるとして、営農者側も開門差し止めを求め提訴。長崎地裁が13年以降、開門差し止めを命じる仮処分決定などを出したことで、司法判断がねじれる状態に陥った。

国は16年、開門しない前提で100億円規模の漁業振興基金を創設する和解案を示し、18年には福岡高裁がそれに沿った和解勧告を提示。しかしあくまで開門を求める漁業者の声も根強く、和解は成立しなかった。

今回の最高裁決定について、佐賀市のノリ漁業者、川崎賢朗さん(58)さんは「はらわたが煮えくりかえるほど悔しい」と憤った。「タイラギやアサリがとれなくなってきていて、海は疲弊している。有明海の再生には開門しかない」と強調し「まだ裁判は残っており、これで終わりではない」と話した。

一方、長崎県諫早市の干拓農地で農業を営む70代男性は「開門しないままにしてほしいとずっと訴えてきた。これで安心して農業が続けられる」と話す。「ただ、まだ裁判があり、漁業者も納得はしないだろう。話し合って歩み寄れることもあるかもしれない」として、協議の場を用意すべきだとの考えも示した。

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