条例問題、G20で議論を 香港デモ 対中圧力求める

2019/6/26 22:05
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【香港=木原雄士】香港の民主派団体は26日夜、「逃亡犯条例」改正案の完全撤回を求める集会を開いた。集会に先立ち、学生ら約1500人は香港の主要な総領事館に20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)でこの問題を取り上げるよう求める請願書を提出した。国際社会に中国の習近平(シー・ジンピン)指導部への圧力を強めるよう促す狙いだ。

デモ参加者は「トランプ大統領、香港を解放してください」と書かれたプラカードを掲げた(26日、香港)=ロイター

集会参加者は「香港に自由を、いまこそ民主主義を」と声をあげた。条例案の撤回要求にとどまらず、中国の政治的な締め付けが強まる香港の現状を国際社会にアピールした。集会終了後も数百人の若者が香港警察本部を取り囲み、抗議を続けた。

「トランプ大統領、香港を解放してください」。若者らは集会前にこう書かれたプラカードを掲げ、中国を除く米国や日本などG20参加国・地域の総領事館に請願書を出した。

ネット上では世界の主要紙に意見広告を出すための費用を募るクラウドファンディングも呼びかけられた。香港メディアによると、開始から11時間で670万香港ドル(約9200万円)が集まり、G20サミットの前に英フィナンシャル・タイムズなどに掲載される見通しだ。

香港の行政長官は制度上、親中派から選ばれるため「北京(中央政府)の操り人形にすぎない」と民主活動家の黄之鋒氏は指摘する。民主派は香港政府だけでは何も決められないとみて、G20のタイミングをとらえて中国への圧力を高める戦略に転じた。

香港独立を主張する急進的な政治団体の創設者、陳浩天氏がG20サミットにあわせて日本訪問を計画するなど、一部の抗議活動は反中的な色合いが強まっている。

条例改正案は刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡せるようにする内容。香港政府は度重なる反対デモを受けて、条例案が来年7月に廃案になる事実を受け入れると表明した。廃案になるまでは親中派が多数を握る立法会(議会)でいつでも審議を再開できる状態にあるため、民主派は政府自ら条例案を取り下げる完全撤回を求めている。

抗議が収束しない背景には林鄭月娥行政長官への根強い不信感がある。林鄭氏は9日の103万人デモの後も条例改正が必要との立場を変えず、16日の200万人デモを受けて「社会の対立が解消されない限り、改正手続きを再開しない」としぶしぶ廃案を受け入れる考えを示した。学生らが求める警察の暴力行為の調査にも応じていない。

香港大学が17~20日に実施した最新の世論調査では行政長官の支持率が32.8%と前回調査(43.3%)から急落し、歴代の行政長官の中で過去最低に落ち込んだ。林鄭氏の支持率は就任当初に6割を超えていたが、中国寄りの姿勢が目立ち、ずるずると低下した。今回の条例改正をめぐる対応で不人気が決定的になった。

香港のデモは中国本土ではほとんど報道されず、SNS(交流サイト)を使った情報発信も制限されている。香港人が日常的に使うフェイスブックやツイッター、若者らがデモの情報交換に使う通信アプリ「テレグラム」も基本的に使えない。中国人の大半は香港で何が起きているか知らないのが実態だ。

中国は香港を内政問題と位置づけ「いかなる外国も干渉する権利はない」との立場を取っている。外務省の張軍外務次官補は香港問題を「G20で議論することは許さない」と明言した。

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