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なでしこの「自立」は道半ば 五輪へ宿題残したW杯

8年前の優勝、4年前の準優勝と比べれば、16強という結果は衰退と映るだろう。目指していた頂点には届かなかったが、今のなでしこはリオデジャネイロ五輪の予選敗退を機に監督も選手も入れ替わり、土台から作り直す作業の真っ最中。その成長途上で迎えた大舞台で、手応えと課題がどっさりと残った。

【なでしこ8強ならず オランダに競り負ける】

オランダに競り負け、引き揚げる日本の選手ら=共同

攻撃の積極性、連動性、リスク管理――。1次リーグからの計4試合で平均年齢約24歳の若い日本は1戦ごとに宿題を与えられ、少しずつこなしていった。「自分たちのやれることが増えていった。もっともっと長くやりたかった」と主将のCB熊谷は惜しむ。

欧州王者オランダに対して杉田がピッチ狭しと動き回って攻撃の起点となり、長谷川は丁寧な崩しの末に岩渕のラストパスを受けて同点ゴールを流し込んだ。ともに22歳の俊英は相手のパワフルな寄せに序盤はたじたじだったが、後半にはスイスイとかわしていく高い技術を披露していた。

彼女らが2014年に優勝を遂げたU-17(17歳以下)W杯も指揮していた高倉監督は、一貫して選手自身が答えを探す重要性を説いてきた。「もう一つ上に行くためには、もっと選手の自立を促さなければ。サッカーをより深く考え、悩み、自分で結論を出すというプロセスを踏みながら」

1秒ごとに状況が変化するのがサッカーという競技。だからこそ試合の流れを読み、自律的に問題を修正していく大人のチームという理想を追った。「強豪との試合の中で修正していく能力は日本ならではだと思う」と、長谷川も実感する。

ただ今大会、選手たちから「距離感」という課題が毎日のように聞こえた。スムーズにパスを受けるため、即座にフォローするためにどこまで近づくべきか。W杯の最中に手探りで模索しなければならなかったのは、「メンバーが定まらず、ちゃんとまとまったのが今回初めてだったから……」と、ある若手は語る。個々の成長を待ち、競争を繰り返す中で、チームを熟成させる作業が遅れた面もあるのだろう。

もし中心にベテランがどっしりと鎮座していたなら困ったときに指示を出し、助け舟も出せたはず。だが、右膝の負傷からの回復途上だった31歳の阪口、コンディション不良の30歳の宇津木はベンチに座ったまま。8年前の優勝を知る実力者がピッチに立てずに終わったことは大きな誤算だ。

決定力不足という直接的な敗因だけでなく、「まだ何かが足りないということ。1年後の五輪に向けて真摯に向き合いながら選手が成長してくれることを願う」と高倉監督。チーム全員が宿題をクリアして東京で大きな成果を勝ち取れたとき、この16強が意味あるものとなる。(本池英人)

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