企業の課題、学生の柔軟な発想が解決 長野県立科町
(まちづくり 人づくり)

2019/6/26 19:58
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若者の柔軟な発想を借り、地域経済の活性化につなげる――。こうした取り組みが長野県立科町で実を結び始めている。ビジネスのアイデアを競い合う「アイデアソン」の立科版「タテシナソン」が2019年度で3回目を迎える。地元企業が抱える課題を学生たちが議論する。過去に生まれたアイデアは実際に採用され、新商品開発などに一役買っている。

学生たちは28時間で課題解決法を導き出さなくてはならない

タテシナソンは1泊2日。その場で与えられる課題に対し、学生たちは28時間で解決法を導き出さなくてはならない。1チームは5人程度で、ほとんどが初対面だ。首都圏の学生も参加している。チームには1人ずつ町民ガイドが付き、町を案内する。会場では音楽を流すなど、ゲーム感覚で盛り上げる。最終的な評価は課題提供企業や町長が判断する。

第一線の経営者が頭を悩ます課題に対し、学生がすぐに答えを見つけることは難しい。そこで、企業支援を手掛ける浅間リサーチエクステンションセンター(長野県上田市)の岡田基幸センター長が指導役としてアドバイスする。

18年2月に行った初回は牛乳やソフトクリームを販売する牛乳専科もうもう(立科町)が出題した。同店は冬に客足が途絶えるのが課題で、通年営業に必要な方策を募集した。

学生たちはソフトクリームに代わる看板商品として、飲むヨーグルトを提案。もうもうという店名に合わせ、商品パッケージを牛柄に統一することも進言した。

新商品として採用すると、飲むヨーグルトは約半年で3000本程度売れた。既存商品のラスクの包装も牛柄に変えたところ、販売量は前年比17%増になった。学生の提案を踏まえ、冬にはイベントを2日間開き、ホットミルクなどを提供した。もうもうの中野和哉さんは「長く同じことをやっていると見えなくなることもあるが、新しい刺激をもらい、一歩前進できた」と語る。

2回目は木材卸の山浦木材建材(同町)が大量の在庫木材の活用法を募集。学生たちの提案を受け、オリジナル家具の販売に動き出した。タテシナソンに参加したことがある長野大学1年生の竹花日和さんは「アイデアが本当に商品化してしまうのは、なんて夢のあることだろうと思った」と話す。

町企画課の上前知洋さんは「町の第3次産業の1人当たり付加価値額は全国の市町村別で1535位。地域の価値が掘り起こされていないと感じた」と説明する。若者を呼び込むとともに、地元企業の振興につなげる「一石二鳥」を狙う。

19年は9月6~7日に開催し、アウトドア施設「マーガレットリフレクパーク」(同町)の課題に取り組む。今回は社会人チーム1組の参加も募集する。学生たちの手本になることが求められるようだが、若者ならではの柔軟なアイデアに対抗するのは簡単ではなさそうだ。(北川開)

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