2019年7月17日(水)

西友、再上場へ 米ウォルマート戦略転換

小売り・外食
北米
2019/6/26 15:00 (2019/6/26 22:17更新)
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米ウォルマートは傘下の西友株の過半を持ち続けたまま一部株式を手放す方針だ

米ウォルマートは傘下の西友株の過半を持ち続けたまま一部株式を手放す方針だ

米ウォルマートは傘下の西友を再上場させる方針を明らかにした。株式の過半を保有し続けるが一部株式を売却する。これまでは非上場の完全子会社として米本社主導で経営してきた。上場に伴い日本に権限を委譲して地域特性に合った経営を進める。ウォルマートは日本法人の売却も検討していたが、条件が合う買い手は現れなかったとみられ方針を転換する。

26日、西友が発表した中期的な事業計画の中で上場方針を明らかにした。ウォルマートは西友か、西友の持ち株会社であるウォルマート・ジャパン・ホールディングス(HD)のどちらかの上場を目指す。上場を目指す時期などは明らかにしていない。

西友は2002年にウォルマートと資本業務提携を発表し、08年に完全子会社になった際に上場を廃止された。

事業計画ではネットスーパーの拡充や、総菜など商品力の強化を重点戦略として成長を目指す。19年3月にウォルマート・ジャパンHDと西友の最高経営責任者(CEO)に就任したリオネル・デスクリー氏は26日に取材に応じ「地域に密着した企業として、日本の消費者との結びつきを強めたい」と述べた。

西友は上場廃止となった08年以降、「EDLP(毎日安売り)」などウォルマート流の売り場作りを推進してきた。ただ、低価格を売りにするドラッグストアなどとの競合激化のほか、店舗の老朽化が響き、苦戦も目立っていた。ウォルマート・ジャパンHDの最終損益は16年12月期が2億円超の赤字、17年12月期はトントン、18年12月期は6600万円の赤字となっていた。

ウォルマートは水面下で日本事業の売却を検討していた経緯がある。18年7月にはウォルマートは「西友の売却を決定していない。将来的な買い手と議論をしておらず、日本でのビジネスの構築を続けていく」とコメントしたが、流通大手や投資ファンドなどが買い手候補として打診されていた。パン・パシフィック・インターナショナルHD(旧ドンキホーテHD)の大原孝治社長が「売却の意向であれば興味がある」と発言するなど、好立地の自社保有の店舗などを狙う小売りや不動産系の投資ファンドも関心を示していた。

西友の想定売却額が3000億~5000億円とみられる中、事業の将来性や不動産価値への見方が分かれることもあり、ウォルマートが納得する価格を支払える買い手は現れなかった。一時期は地域ごとの分割売却なども浮上したが、それでも「価格が高くて魅力がなかった」(大手小売り幹部)との声もあった。

ウォルマートは売却が進まなかったことから、株式上場へと方針を転換したもようだ。ある金融関係者も西友の再上場について「買い手がつかなかったことが今回の決断に影響していると見るのが自然だ」と話す。

ウォルマートの米国事業は比較的堅調だがアマゾン・ドット・コムなどの攻勢で事業モデルの転換を迫られている。米国外で収益性の低い事業を抱える余裕はなくなり、世界的に事業戦略の見直しを急いでいる。18年には業績が低迷していたブラジルの子会社の株式の80%を米投資ファンドに売却した。英国でも事業再構築を目指している。

日本の上場方針もこうした世界戦略の流れの中にある。上場後は株式が市場で取引され資金調達しやすくなるほか、競合との資本提携や将来的にはウォルマートの株式保有比率を少額出資にまで減らすといった、選択肢も広がるとみられる。日本で3カ年の事業計画を策定し店舗運営を継続する姿勢を打ち出したものの、ウォルマートの国際事業の事例をみれば先行きは不透明だ。仏カルフールや英テスコなど多くの外資系小売りが撤退した日本市場でウォルマートの戦略転換が注目される。(平嶋健人)

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