2019年7月22日(月)

ヘイト投稿者情報の提出、フェイスブックが仏と合意

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ネット・IT
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北米
2019/6/26 6:08 (2019/6/26 9:18更新)
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投稿に問題があった場合、フェイスブックはユーザーのIPアドレスや個人情報を裁判所に提出するという=ロイター

投稿に問題があった場合、フェイスブックはユーザーのIPアドレスや個人情報を裁判所に提出するという=ロイター

【シリコンバレー=中西豊紀】米フェイスブックがヘイトスピーチにまつわる投稿をしたユーザーについて、個人情報をフランス政府に提出することで合意したことが25日分かった。仏政府はテロや暴力に関する書き込みでユーザー情報を得ていたが、この範囲を広げる。ネット業界は長く「表現の自由」を重視してきたが、相次ぐ不祥事で政府の介入姿勢が強まっている。

マクロン仏大統領のもとでデジタル担当長官をつとめるセドリック・オ氏が自身のツイッターを通じて発表した。他者を糾弾するようなヘイトスピーチで政府が問題があると判断した場合、フェイスブックはユーザーのIPアドレスや個人情報を司法関係部局に提出するという。投稿の発信元の特定にフェイスブックが協力することになる。

セドリック氏はツイートとあわせてロイター通信の取材に応じ「フェイスブックがヘイト関連のユーザー情報を提供するのはフランスに対してだけだ。非常に重要なことだ」と述べた。

フェイスブックは日本経済新聞社に対し「犯罪的なヘイトスピーチについて、今後は(手続きが煩雑で時間がかかる)刑事共助条約に照らさずに仏政府の情報請求に応じていくことになる」とコメントした。一方で「米国を含め司法当局からの要請はすべて精査のうえ、人道上あるいは合法的におかしいものには対応しない」との考えを強調した。

フェイスブックにとってヘイトスピーチの摘発と削除は長年の課題だ。不正な画像は人工知能(AI)で摘発しやすくなったが、差別などで微妙なニュアンスを含んだ「文章表現」を見つけ出すことはまだ道半ば。同社幹部も「AIによる即時削除にはまだ時間がかかる」と認めている。

ただ、各国でヘイト投稿の放置が問題視される中、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は3月末に不正コンテンツについて「グローバルな規制が必要」との声明を発表。民間努力ではもはや対応が難しいとの立場をとっていた。

仏政府との合意が事実であれば、フェイスブックはザッカーバーグCEOが志向する「政府との協調摘発」に踏み出すことになる。問題投稿が放置されるリスクは減るとみられるが、仏政府が何を基準にヘイトスピーチを認定するかなどの課題は残る。

また、米国は表現の自由を憲法が保障しており、政府が言論を統制することを禁じている。フェイスブックの対応はグーグルなどSNSを運営する他の米ネット大手の戦略にも影響を及ぼしかねない。規制がない自由な言論の場が成長の土壌でもあったネットの世界だが、状況は変わりつつある。

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