2019年7月22日(月)

FRB議長「過剰反応しない」 早期利下げ観測けん制

トランプ政権
貿易摩擦
経済
北米
2019/6/26 2:13
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【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は25日のニューヨークでの講演で「金融緩和の必然性は高まっているが、個別のデータや短期的な心理の振幅に過剰反応しないようにも注意している」と指摘した。市場ではFRBが7月末の次回会合で金融緩和に転じるとみているが、市場の過度な利下げ圧力をけん制したものだ。

FRBは19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策方針を大幅に修正し、貿易戦争などを懸念して「経済成長の持続のために、適切な行動をとるだろう」と声明文に明記した。投資家はFRBが早期に金融緩和に転じるメッセージと受け取り、先物市場では100%の確率で7月末の次回会合で利下げに踏み切ると予測している。

パウエル氏は25日の講演で「成長持続へ適切な行動をとるだろう」と声明文をなぞって発言したが「我々が格闘している疑問は(貿易戦争などの)不確実性が景気見通しに影響を与え続け、金融緩和が求められるようになるかどうかだ」と付け加えた。金融緩和の必然性が増していると認めつつも「過剰反応すべきでない」とも指摘し、市場が確実視する7月末の会合で利下げを決断しない可能性もにじませた。

パウエル氏は米経済動向について「とてもよく機能しているが、貿易の動向や世界的な成長への懸念など、いくつかの逆風に注意している」と警戒感をにじませた。企業心理の悪化で「投資が減速している証拠がある」とも主張し、引き続き近く金融緩和に転じる可能性も示唆してみせた。

FRBは19日のFOMC後、会合参加者17人のそれぞれの政策見通しを公表した。年内の利下げを主張した参加者は過半数にやや届かない8人で、金融緩和派と現状維持派は拮抗している。パウエル氏は19日に「政策金利の据え置きを主張する参加者も、金融緩和の必然性が増していると同意している」と述べたが、FOMC全体の意見が金融緩和で集約できていたわけではなかった。

FRBが懸念する米中の貿易戦争は、両国首脳が28~29日の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)に合わせて会談して一定の前進がみられる可能性もある。パウエル氏は両国の協議を見極めて政策判断したい考えで、100%という極めて高い確率で7月末の利下げを織り込む市場をけん制してみせた。

パウエル氏は講演の冒頭で「FRBは短期的な政治圧力から保護されている」とも主張した。トランプ米大統領はFRBに「1%程度の利下げ」と要求し、7月末の会合で金融緩和に転じるよう繰り返し圧力をかけている。同大統領はパウエル氏を議長から理事に降格する可能性も否定せず、金融政策への介入を強めている。中央銀行の独立性が揺らげば基軸通貨ドルの信認にも響きかねず、パウエル氏は講演の場でトランプ氏にも反論してみせた。

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