久留米のアイスマン 製氷装置をインドの漁港に

2019/6/26 23:34
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漁港、食品工場、スキー場――。世の中を見渡すと大量の氷が必要となる産業がある。製氷装置を製造・販売し、国内でも高いシェアを誇るアイスマン(福岡県久留米市)が今年、インドで装置の普及を目指す。漁港に装置を置いて、新鮮な魚の流通を後押しする。

インドで製氷装置の普及を拡大する(2月、インドのナガパティナム県)

インドで製氷装置の普及を拡大する(2月、インドのナガパティナム県)

2月、井植哲二取締役はインド南部のナガパティナム県の漁村にいた。セ氏30度を超える蒸し暑さの中、直径約1ミリメートルの粉末状の氷を製造する装置の設置が進められた。土地の造成などを一から行い10日でセッティングが完了。井植取締役が氷の排出ボタンを押すと、周囲に集まった漁師らから驚きの声が上がった。

同社が今年からインドで導入を本格化させるのは改良を加えてきたフレーク製氷機。20時間で1~30トンの氷を製造する生産能力もさることながら、現地の人をわかせたのが海水をくみ上げ直接氷に変える能力だ。「きれいな水が手に入りにくい中で、海水を直接利用できるのは助かる」。そんな声があがる。

氷が手に入りにくい漁港に装置を設置し、漁船と魚を陸送する電車の両方に氷を積める体制を整える。完成品を輸入するか、現地生産するかは今後決めるが「100台、1000台の生産単位で現地に装置を設置していきたい」(井植取締役)という。

同社がインド市場を狙う理由は、経済成長に伴い魚食ニーズも高まるとみるからだ。同国では生け締めの技術を持たない漁師も多く、デリーなどの大量消費地に各地の魚を運ぶことが難しい。装置を使えば魚の消費が増えるだけでなく生食文化が広がる可能性があり、インド政府も関心を寄せている。

インドでの設置は農林水産省の「フードバリューチェーン構築推進事業」の補助も受けた。国と連携して刺し身や寿司など日本食文化の普及を後押しし、将来は日本の高級魚などの輸出拡大にもつなげる。

海外展開を本格化させたのは5年ほど前。日本で漁業人口が減少する中、海外の見本市などに積極出店しニーズを探ってきた。海外展開にあたりネックになるのがメンテナンスなどの体制作りだったが、東京産業などと連携しながら地道に協力会社を探し、西アフリカ地域や東南アジアなど世界40カ国に製品を納入してきた。今後は、氷の使用量が多い米国で装置を普及させる考えだ。

同社は近年、装置の販売だけでなく装置で製造した氷自体の販売や、あらゆるものがインターネットにつながる「IoT」技術を使ったメンテナンスサービスにも力を入れている。装置の販売を通じて市場開拓した地域で、新たなビジネスを展開することも目指す。海外事業は現在売上高の1割程度だが、将来は5割程度にまで広げる考えだ。

 アイスマン 1956年創業の製氷装置メーカー。漁港やスキー場向けなどでシェアを持つ。炭酸水を凍らせる装置やフロンガスを発生させない装置の技術開発も進めている。従業員は約50人で、18年9月期の売上高は15億円。

(西部支社 荒牧寛人)

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