米製薬アッヴィ、アイルランドのアラガン買収 6兆円超
【ニューヨーク=中山修志】米製薬大手のアッヴィは25日、アイルランドの同業大手アラガンを買収すると発表した。買収額は約630億ドル(約6兆7000億円)。2019年の製薬業界のM&A(合併・買収)で最大規模となる。アラガンが得意とする美容や眼科などの成長分野を取り込む。
買収は現金とアッヴィ株との株式交換を組み合わせによって行う。アラガン株の価値を24日の終値を45%上回る1株188.24ドルと評価した。20年初頭に買収手続きを完了する計画。
両社を合わせた売上高は年間480億ドル規模となり、研究開発やマーケティングの共通化によるコスト削減を図る。アッヴィは買収後も登記上の本社を米デラウェア州に残し、本社機能は引き続きイリノイ州に置く。
アラガンは米国に比べ法人税率が低いアイルランドに本社を置く。15年には米ファイザーが総額1600億ドルでアラガンの買収を発表。本社をアイルランドに移して節税効果を狙ったが、米政府が翌16年に「タックスインバージョン」(租税地変換)への規制を強化し、ファイザーが買収計画を取り下げた経緯がある。
製薬業界ではファイザーが今月、米バイオ医薬のアレイバイオファーマを総額114億ドルで買収すると発表するなど、M&Aの動きが活発になっている。