2019年7月19日(金)

学校のICT活用遅れ、解消へ一歩 文科省が工程表

社会
2019/6/25 19:00
保存
共有
印刷
その他

小中高校などでの情報通信技術(ICT)の活用について、文部科学省は25日、2025年度までの工程表を示した。児童生徒1人につき1台、教育用のパソコンやタブレット型端末が利用できる環境を整え、教育関連のビッグデータも利用して情報化社会で求められる人材を育てる。学校でのICT活用の遅れが指摘されており、解消を急ぐ。

工程表では教育用パソコンの安価品を供給してもらうよう民間に協力を要請し、私物のスマートフォンも学校で使う。これらによって25年度までに「1人1台」を目指す。全国の大学を結ぶ超高速の学術ネットワーク「SINET(サイネット)」を学校に開放し、22年度に本格運用する。

定期テストやドリルの解答状況、デジタル教科書の参照履歴、出欠や健康状態といった子供の情報を集めた「教育ビッグデータ」も整備する。人工知能(AI)で分析し、子供の興味関心や得意、不得意などに応じてドリルの問題を出したり、より深く学べる教材を提供したりする。20年度にデータの収集方法などの結論を出す。

すでに学習塾などでは、AIを活用した教材が導入されている。タブレットで問題を出し、解けなかった場合はAIが原因を分析し、理解が足りない項目を追加で教えるといった「オーダーメード教育」が広がる。

京都大の緒方広明教授(教育情報学)は教育ビッグデータの活用により、「『学力が上がるクラスの人数』『指導方法による学力の伸びの差』なども分析できる可能性がある」と指摘する。現在の成績から、将来の学力を予測できるようになる可能性もあるという。

文科省はデジタル教科書や仮想現実(VR)、拡張現実(AR)なども創造性を伸ばすために活用する。デジタルコンテンツや映像で理解を助け、興味ある分野をより深く学ばせる。最先端の知見や多様な人材に触れられる遠隔教育も広げる。

欧米は教育ビッグデータなどで先行している。同省によると英国は公的機関が収集すべきデータを指針で提示し、特別な指導が必要な子を自動でリストアップするなどして活用。米国でも多くの学校がデータを授業設計や指導に使う。

一方、国内ではICT活用の前提となる環境整備が不十分だ。公立の小中高校などを対象とした同省の調査では、18年3月時点で教育用のパソコン1台当たりの児童生徒数は平均5.6人にのぼる。普通教室の無線LAN整備率は34.5%にとどまる。

教える側の意識や手法も改善が必要になりそうだ。経済協力開発機構(OECD)の48カ国・地域を対象にした調査によると、生徒にICTを活用する活動を頻繁にさせている中学教員の割合は17.9%で、下から2番目という低さだった。

文科省は「ICTが必要であることを自治体に丁寧に説明し、具体的な方法を提示する」と説明するが、課題は多い。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。