2019年7月16日(火)

先物=大阪 もっとアピール 大阪取引所社長 山道裕己さん
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2019/6/26 7:01
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 ■日本取引所グループで先物取引などデリバティブ(金融派生商品)を専門に扱う大阪取引所。社長の山道裕己さん(64)は前職の野村証券時代にM&A(合併・買収)を手掛けるインベストメントバンカーとして海外駐在が長く、現在は大取トップとして投資家を訪ね世界中を飛び回る。

やまじ・ひろみ 1955年広島生まれ、京大法卒業後、77年に野村証券(現野村ホールディングス)入社。82年米ペンシルベニア大学ウォートン校で経営学修士。投資銀行部門が長くニューヨークやロンドンに駐在。2013年大阪取引所社長。

やまじ・ひろみ 1955年広島生まれ、京大法卒業後、77年に野村証券(現野村ホールディングス)入社。82年米ペンシルベニア大学ウォートン校で経営学修士。投資銀行部門が長くニューヨークやロンドンに駐在。2013年大阪取引所社長。

生まれも育ちも広島だが、父親の仕事の関係で小学校5年から中学3年まで兵庫県宝塚市に住み、大学も京都だった。2013年からは大取の社長として3回目の関西暮らしとなった。通算すると関西生活は15年にのぼる。

社長として取引所を地元に身近なものにしたいと考えてきた。例えば、14年に大取のビルで堺筋と土佐堀通りの交差点に面したホール部分の外壁に「大阪取引所」と看板文字を設けた。北浜の証券界の方はこのビルは取引所とみんな知っていたが、一般の方は当時、美術館と思っている人も多かった。5階のフロアにはデリバティブを学べるフロアを設けて、誰でも訪れられるようにした。

 ■海外投資家と接する機会が多い山道社長。投資家は大阪をどう見ているのか。

デリバティブは国際的な商品。先物、オプションともに世界中で取引されている。大取の売買比率も7割は海外から。私自身も投資家の本音を聞くために年7~8回は海外出張している。行く先は半分が欧米、半分がアジア。先物関連の会合の後、ヘッジファンドや高速取引業者(HFT)などと会っている。

投資家と接して常々思うのは、大阪が先物市場の発祥の地という歴史は、国内より海外でよく知られているという点だ。江戸幕府がコメの先物取引を公に許可したのは1730年。淀屋の店先でコメが活発に売買されたのは1600年代だ。世界最大の取引所、米シカゴ・マーカンタイル(CME)グループのレオ・メラメド名誉会長は「大阪のコメ市が世界で最初に組織化された先物市場」と公言しているし、現存する最古の取引所、シカゴ商品取引所(CBOT)は大阪のコメ市を参考にしたと言っている。

だからデリバティブのセールスで大阪を使わない手はない。「デリバティブ発祥の地・大阪」はいつも言い回っている。実際、投資家は結構の頻度で来阪している。週末にやってきて大取でミーティングをやって、帰りに京都に寄って帰るという感じでね。

先物の記念碑披露式で(前列左から2人目の白いリボンが山道さん)=2018年10月、大阪市北区

先物の記念碑披露式で(前列左から2人目の白いリボンが山道さん)=2018年10月、大阪市北区

 ■大取は20年度前半に証券と商品先物を上場する総合取引所になる。デリバティブで大阪を盛り上げることに期待は高まる。

日本で金融センターというと、どうしても東京。もともとは関西だったのに本社機能を東京に移したという金融機関も多い。ただ大阪はデリバティブ発祥の地という歴史があるので利用しない手はない。自治体などと協力して18年に大阪のコメ市跡地に先物の記念碑を設けた。記念碑はQRコードをかざすと13カ国語で解説される。海外から観光客がきても対応できる。

商品先物は過去10年ぐらいで世界では5倍になっているが、日本は5分の1に縮小している。このままでは先物の役割である価格発見機能が果たせない。アジアにおける価格形成は事実上、中国だけになってしまう。世界中の投資家は誰も望んでいない。

海外投資家は中国市場に魅力を感じているが、政治や取引制度面で安定している日本への期待も大きい。日本が量ではなく、質の面でしっかりした価格形成機能を持つのは意義がある。今回、総合取引所になって日本で商品先物が消滅せず、これからどう市場を盛り上げていくかが課題になる。盛り上がれば盛り上がるほど「大阪」という名前が世界中でもっと定着できる。

(聞き手は山本修平)

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