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グテレス国連事務総長寄稿「デジタルの未来へ協力を」

グテレス国連事務総長はデジタル技術に関する国際的な議論を国連主導で進めるとの見解を日本経済新聞に寄稿した。

まもなく大阪で開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では、デジタル経済が大きな議題の一つになる。

平和と人権、持続可能な開発のために、新技術は絶好の機会を提供する。病気を治し、食糧を増産し、経済成長を加速させ、地域社会、家族、友人を結びつける。人工知能(AI)、ブロックチェーン(分散型台帳)、バイオテクノロジーなどは世界的課題の解決策を生み出す可能性を持つ。

変化のペースは目覚ましい。新技術は前例のないペースで研究所から飛び出し、世界的に利用されている。今日あるデータの9割以上は過去2年間で生み出された。

世界が合意した「持続可能な開発目標(SDGs)」では、デジタル技術は特に停滞している分野の推進に役立つ。利害関係者をまとめ、女性の参加を推進し、少女たちに科学、技術、工学、数学を教育する対策が必要だ。

インターネットなしでどう生きていたのか思い出すのは苦労するが、まだ大きなデジタルデバイド(情報格差)が残っている。世界の人口の半数以上にとって、インターネットへのアクセスは高いか遅いか、そもそも存在しない。情報格差は教育、健康、貧富の不平等を悪化させる。デジタル技術の機会は万人に届かなければならない。

新技術がもたらす脅威もある。人の手を借りずに敵を殺害する兵器の実現は近い。ソーシャルメディアは憎悪と嘘を拡散するために使われている。犯罪者が「ダークウェブ(闇サイト)」をうろつき、仮想通貨を通じて人身売買や薬物密売で利益を得ている。労働者は自分の仕事が自動化の犠牲になることを恐れる。

デジタル技術が確実に人の役に立つよう、私は「デジタル協力に関するハイレベルパネル」を設けた。ビル&メリンダ・ゲイツ財団のメリンダ・ゲイツ氏とアリババ集団の馬雲(ジャック・マー)会長が共同議長を務める同パネルは、新技術から最大の成果を引き出す提言を打ち出したばかりだ。技術の動きはあまりに速い。デジタルの世界ではアナログな政策立案は通用しないのだ。

政府や市民社会、学界、ハイテク産業が集まって議論する枠組みとして、同パネルが国連という場を認めたことを歓迎する。国連は標準策定、設備構築、データ収集にも取り組んでいる。私は工程表を策定し、関係者の会合を主催していく。

議論がまとまるのを待っているわけにはいかない。貿易や通信、気候変動などと同じく、国際協力がなければ進歩とカオス(混沌)の分かれ道が待っている。今すぐ信頼の構築に動き、問題の先を行き、平和で豊かで前向きなデジタルの未来を形づくる必要がある。

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