海老蔵、七月大歌舞伎で13役早替わり

2019/6/29 6:00
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歌舞伎俳優の市川海老蔵が通し狂言「義経千本桜」の主要13役に早替わりで挑む。演目は「星合世(ほしあわせ)十三団 成田千本桜」。4~28日、歌舞伎座(東京・中央)の七月大歌舞伎夜の部で上演する。

海老蔵は5年ほど前から構想を温めてきたという

海老蔵は5年ほど前から構想を温めてきたという

義経千本桜は源義経が平家討伐後、兄の頼朝に疎まれて追われるさまを描く。歌舞伎の名作の一つで、海老蔵は2010年に京都・南座で上演した際、立役(男役)にとって特に重要な3役(佐藤忠信に化けた源九郎狐(ぎつね)、平知盛、いがみの権太)を演じた。その経験も踏まえ、5年ほど前から13役全てを勤める構想を温めてきたという。

13役は衣装も化粧も全く違うため、息つく暇もない。例えば、義経の妻である卿の君は真っ白な顔だが、維盛のために命を落とす権太は茶色。義経の家来の弁慶は紅で隈(くま)を取り、敵方の朝方は青黛(せいたい)で隈取りする。特に大変なのは戦で血だらけになった知盛から次の役に替わる場面で、海老蔵は「台本には『すぐ取って、すぐ出る』と書いてある。その『すぐ』は何分なのか」と冗談めかして語る。

作品について「テーマは死ぬということ」だと語る。争いの中で次々と死んでいく人間と、鼓の皮になった親狐を慕って忠信に化けて現れる子狐の純粋さの対比が、作品の根幹にあるとみる。クライマックスの「川連法眼館(かわつらほうげんやかた)の場」では、親狐の皮で作った鼓を義経から与えられた子狐が喜び、天に昇る。「狐のむくな心が昇天していくのが一つの眼目。動物の世は純粋で美しく、人間も見習うところがあると作者は書きたかったのではないか。そこを掘り下げていきたい」

タイトルの「星合世十三団」は江戸歌舞伎を代表する初代団十郎が演じた「星合十二段」にちなむ。13役を演じるのと、20年に襲名する十三代目団十郎という大名跡にかけて、十三を入れたという。

(佐々木宇蘭)

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