熱視線

フォローする

「常に優勝争い」へ基盤作り 東大アメフト部HC森清之(下)

2019/6/29 6:30
保存
共有
印刷
その他

森清之が東大ヘッドコーチ(HC)に就任して2シーズンでなし遂げた関東学生アメリカンフットボール連盟の1部上位リーグ、TOP8昇格。だが、順風ばかりではなかった。

論理的に指導、前例踏襲主義壊す

自分のころとは学生気質が違う。頭ごなしに「やれ」といってもそっぽを向かれるだけ。一方で「『ずっとこうやってきた』『先輩から言われてきた』ばかりの前例踏襲主義に凝り固まっていた」という。

保守的で、変えてどうなるかわからないような新しいやり方には踏み込もうとしない東大生に、森は最新の練習法とその目的を1つずつ説き、「こういう栄養を取らないと筋肉がつかない」など、選手を納得させる科学的、論理的な説明を重ねた。

そうやって一度壁を越えればあとは自発的に取り組んでくれた。「筋トレなんて自ら時間をひねり出して、さぼらずに続けるのが一番大変。でも、うちの学生は自分に必要なこと、やるべきことをコツコツやる能力がある。受験勉強で経験し、克服済みだから」

「体技心」を合言葉にチーム強化を図った。「コンタクトスポーツのアメフトで、フィジカルの強さに自信がないまま『勝てると思え』といっても無理。加えて中学からアメフトをやっている10年選手に細かなスキル、経験値はかなわない。その中でうちは当たり負けせず、試合終了まで走りきれる『体』がなければ勝負できない」からだ。

TOP8昇格を決めた後の最終戦に敗れ、森(中央右)は選手に厳しい言葉を投げかけた(18年12月、東京都調布市)

TOP8昇格を決めた後の最終戦に敗れ、森(中央右)は選手に厳しい言葉を投げかけた(18年12月、東京都調布市)

とはいえ、今季対戦する早大、明大、法大、立教大、慶大といった強豪はこれまでとはレベルが違う。春のオープン戦では歯が立たず、慶大に7-41、法大に0-33。6-16と競った京大戦も、相手はほぼレギュラー格でなかったという。

そんな苦杯続きの中、森は「『ここは通用した』と思えたかどうか。そう感じるものがあれば『もっとやらなきゃ』『もう少しここを鍛えないと』となる」と話す。期待するのはチームの要、4年生だ。「就任1年目の法大戦。相手は最初のシリーズだけで主戦級を下げたのに、勝負にならなかった。今年は最後までレギュラーが出てくれた。こちらのレベルアップと理解している。そこに(一昨年を知る)4年生は手応えも感じたはず」

目指しているのは「常に優勝争いをするチーム」だ。主力選手が卒業しても、チーム力を維持する基盤ができれば、戦力がそろった年には勝てる。思い描くのはやはり自らがいた往時の京大のイメージか。そんな強豪校への足がかりとなるシーズンまであと2カ月。成長を見守ってきた選手と挑む今季は森にとっても新たな挑戦である。(敬称略)

この連載は土田昌隆が担当しました。

熱視線をMyニュースでまとめ読み
フォローする

保存
共有
印刷
その他

電子版トップスポーツトップ

熱視線 一覧

フォローする
「車いすテニスが五輪の種目になれば、障害者も五輪のメダルをとるという夢が生まれる」と語る

 1996年8月9日。ステファン・ウデが獣医仲間とバイクでオーストリアをツーリング中、前の車を追い抜こうとすると、その車が左に寄ってきてしまい、ウデは対向車と衝突。15日間の意識不明ののち、左膝が曲が …続き (8/24)

「ウデ前」と「ウデ後」で車いすテニスの歴史は書き換えられた(4月のジャパンオープン)

 ナダル対フェデラー。健常者のテニスで幾度となく名勝負を繰り広げてきた両雄に擬せられる戦いが、車いすテニスにもある。
 国枝慎吾対ステファン・ウデだ。かたや、四大大会男子シングルス22度の優勝を誇る日本 …続き (8/24)

原点回帰のプレーで「とにかく結果を追求したい」

 藤岡麻菜美が所属するJX―ENEOSは3月、史上初のWリーグ11連覇を遂げた。同じポイントガード(PG)の「レジェンド」吉田亜沙美の現役最終戦にもなったファイナルで歓喜の輪に加わりながら、わずか15 …続き (8/10)

ハイライト・スポーツ

[PR]