セーヌに沈んだル・コルビュジエの船、21年にも復活

文化往来
2019/6/29 6:00
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世界遺産に登録された国立西洋美術館本館(東京・台東)などで知られる近代建築の巨匠ル・コルビュジエは1929年にセーヌ川に浮かぶ船を設計した。通称は「アジール・フロッタン(浮かぶ避難所)」。もとは石炭を運搬する船で、第1次世界大戦後はパリ市内にあふれた難民の避難所として再設計された。内部は水平の連続窓や開放的なピロティなどからなり、ル・コルビュジエが提唱した建築が満たすべき条件「近代建築5原則」を具現化した文化遺産だったが、2018年に川の増水で沈んでしまった。このほど、復活を目指すプロジェクトが日本で発足した。21年2月の公開を目指す。

復活プロジェクトの説明をする神戸大の遠藤秀平教授。2021年2月の公開を目指す(東京都港区)

復活プロジェクトの説明をする神戸大の遠藤秀平教授。2021年2月の公開を目指す(東京都港区)

同船は日本とも縁がある。当時、ル・コルビュジエの事務所には、のちに東京文化会館(同)などの設計を手掛けた日本を代表する建築家、前川國男が所属し、改修にも携わった。06年からは、老朽化のためパリの有志が補修工事を行い、最後の仕上げで神戸大の遠藤秀平教授が設計した桟橋が寄贈される予定になっていた。

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こうした経緯もあり、遠藤教授が中心となり、日本で引き揚げと再生のための支援先を模索。19年3月に公益財団法人国際文化会館からの助成が決定した。事業総額は1億8500万円。国際文化会館の近藤正晃ジェームス理事長は「船は難民との関わりが深く、今日的な意義も大きい。日仏の交流がより一層、進むことを期待したい」と話す。

すでに、潜水調査を行っており、船体に2カ所の穴を発見。遠藤教授によると、これが沈んだ原因とみられるが、引き揚げには支障はないという。完成後は、船内で主に日本人で1960年生まれ以降の建築家を紹介する「ポストバブルの建築家展」を開催する予定だ。キュレーターは東北大の五十嵐太郎教授が務める。

(赤塚佳彦)

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