トランプ氏、日米安保見直し言及 高官「可能性低い」
米メディア報道
【ワシントン=中村亮】米ブルームバーグ通信は24日、トランプ米大統領が最近、日米安全保障条約を不公平だとして不満を示したと報じた。米国が日本を防衛する義務を定める半面、日本の自衛隊は米国を守ると規定していないと指摘したという。米政府関係者は、条約の見直しにつながる可能性は極めて低いとしている。
同通信が3人の関係者の話として報じた。トランプ氏は最近、私的な場でごく近い関係の人物と安保条約の破棄に言及したという。米政権が具体的な議論に着手したわけではないとしている。日本政府が目指す米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)などの移設を土地の収奪ととらえており、米国は移設と引き換えに金銭的な補償を受けるべきだとの考えも示したという。
トランプ氏が日本との安保協力に不満を表明したのが事実なら、日米貿易交渉が本格化するなかで安保協力を取引材料に使い、日本に譲歩を迫る狙いも考えられる。トランプ氏は2020年の大統領選での再選に向け、対日交渉で早期に成果を出したい考えだ。
トランプ氏は欧州連合(EU)との貿易を巡っても北大西洋条約機構(NATO)での米国の負担が重すぎるとして批判し、貿易分野での譲歩を求めたことがあった。
トランプ氏は28~29日に大阪で開く20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席するため訪日し、安倍晋三首相と会談する予定だ。トランプ氏は5月下旬、日本を訪れた際は「日米関係はかつてなく強固になった」と強調していた。