2019年7月19日(金)

キューバ制裁、米欧の火種に 欧州企業が訴訟対象に
ベネズエラ問題解決に遅れも

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2019/6/24 23:33
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キューバの観光産業に影響が及ぶ可能性がある(ハバナのホテル)=ロイター

キューバの観光産業に影響が及ぶ可能性がある(ハバナのホテル)=ロイター

【メキシコシティ=丸山修一】カリブ海の社会主義国キューバが、米国と欧州連合(EU)の対立の新たな火種になりつつある。米政府がキューバに対する新たな制裁を導入したことで、欧州企業に損害賠償を求める動きが表面化した。EU側の反発は必至で、米欧で共同歩調をとる南米ベネズエラの混乱解消にも影響が出る恐れもある。

キューバ中部の街、シエンフエゴス。砂糖貿易で19世紀から栄えた歴史的な街に立つホテル「サンカルロス」が注目を集める。このホテルの予約を通じて利益を得たとして、予約サイト運営のドイツのトリバゴに損害賠償請求の訴訟が19日までにフロリダの裁判所に提起されたためだ。

提起したのはホテルの元の所有者の子孫を主張する米国に移民したマタ家だ。運営するスペインのメリアホテルズインターナショナルへの訴訟も準備している。

キューバ政府は1959年の革命後、様々な資産を接収した。米政府は今年5月、そうした資産を使って営業する企業に対し、前の持ち主が損害賠償を請求できる制度を全面的に解禁した。米国務省の制裁リストに載るキューバの企業や団体に加え、外国企業も含めた。

トリバゴはキューバのホテル予約に関して価格情報の提供をしている。メリアは、キューバで30軒以上のホテルを運営している。

欧州企業への訴訟が始まったことで、EUの猛反発は必至だ。すでに米政府が訴訟を解禁すると発表した後には、EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表は「欧州・米連合の信頼を毀損する」と批判し、世界貿易機関(WTO)への提訴もちらつかせる。スペインのマロト産業・通商・観光相も「政府は必ず企業を守る」と語る。

キューバと欧州は経済的な結びつきが強い。キューバ国家統計局によると、2017年の米国との貿易額は3億ドル(325億円)と全体の2%なのに対し、欧州は39億ドルと3割強を占める。同国内に拠点を持つ外国企業は222社のスペインを筆頭に欧州が目立ち、米国は6社にすぎない。

米国による制裁強化は20年以上凍結されてきた。今回、キューバが支援するベネズエラへの圧力を強める狙いで、解禁が決まった。中国やロシアがマドゥロ政権を支えるなか、米欧は野党指導者のグアイド国会議長への支持では一致する。

米欧は通商問題を中心に多くの火種を抱える。キューバを巡る米制裁で欧州企業への提訴が相次げば、両者の対立がさらに強まりかねない。米国がめざすベネズエラの混乱収束にも逆効果となるリスクをはらむ。

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