無人配達ロボのルール整備へ 官民協議会が発足
ロボットを使った無人配達サービスのルール整備に向けた動きが本格化してきた。宅配事業者やロボット会社、政府は24日、事故が起きた場合の責任の所在などの課題を洗い出す協議会を立ち上げた。インターネット通販の荷物の取扱数が増える一方、物流業界では深刻な人手不足が続く。消費者に荷物を届ける「ラストワンマイル」のサービス維持へ向け、官民で早期の実用化を目指す。

無人配達ロボは全地球測位システム(GPS)などを使って位置を認識し、地図データに沿って自動で動く。車体に取り付けたカメラやセンサーで障害物を検知しながら、指定された場所まで荷物を届ける。
政府は2019年度中に無人配達ロボの公道での実証実験を解禁する方針を示している。ただ道路交通法では無人運転の自動車と解釈され、現在は歩道を含めて公道を走行できない。実証実験や将来の実用化には、運行ルールの整備や安全性の確保が不可欠になる。
協議会は経済産業省の主催で20年2月までに4回開き、こうした課題を議論していく。物流事業者ではヤマトホールディングス(HD)、日本郵便、楽天などが参加。無人配達ロボを開発するZMP(東京・文京)などのメーカーや自治体のほか、警察庁や国土交通省も加わった。
ネット通販の普及に伴い、国内の宅配便の取扱数は増加が続いている。17年度には42億個を超え、この10年で3割増えた。一方、トラック運転手の有効求人倍率は約3倍で推移し、深刻な人手不足が続く。省人化など物流の効率化が欠かせなくなっている。
無人配達ロボを使ったサービスは海外で先行し、日本は出遅れかねない状況にある。中国ネット通販2位の京東集団(JDドットコム)は中国の一部で実用化し、ドローンと組み合わせた無人物流網を構築しようとしている。
アマゾンも自社で開発した無人配達ロボを使った実証実験に乗り出した。ネット通販市場の拡大が続くなか、開発競争は今後さらに激しくなりそうだ。
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