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交流戦最下位の広島 逆境こそチーム改造の好機

編集委員 篠山正幸

広島がセ・パ交流戦で4勝12敗1分け(6月24日現在)と負け越した。リーグ半ばの"中間テスト"の意味合いがある交流戦で及第点を取れず、リーグ4連覇に暗雲がたれ込めるが、3週間、いたずらにもがき苦しんだだけではない。

交流戦開始時点で、2位阪神に4ゲーム差をつけて首位だった広島が、終了時点では巨人にその座を明け渡すことになった。

23日のオリックス戦で延長10回に大量リードを許す展開を見つめる緒方監督(中央)=共同

先発はそこそこ踏ん張っているのに、試合後半で競り負ける。パ・リーグの5、6位、ロッテ、オリックス相手に1勝5敗だった18日からの本拠地6連戦は、投打がかみ合わない交流戦を象徴する内容だった。

交流戦最下位という王者の低迷もあって、セ・リーグはパ・リーグに対し10年連続の負け越しとなった。交流戦が始まって15年。この間、セ・リーグの勝ち越しは2009年の1度だけ。パ・リーグの優位は揺るぎのないものになったようだ。

DeNAのアレックス・ラミレス監督は本拠地、横浜スタジアムでの日本ハムとの初戦(18日)に勝利し、迎えた第2戦の前に、こう話した。

「第1戦を取るのは大事だよ。なぜなら、これでもうスイープ(三たて)されることがないわけだからね。セ・リーグのチームが三たてされることはあっても、パ・リーグのチームがやられることはあまり見ないだろう」

第2戦の先発には今季初登板となる飯塚悟史を立てていた。飯塚への期待を問われ「セ・リーグの相手だと、5、6イニングは投げてほしい、と話すこともできるが、パ・リーグの相手だとそうはいかない。1イニング1イニング、集中して投げてほしい、としかいえない」。

ここまで率直に語る監督、コーチも珍しいが、ラミレス監督ならずとも、セ・リーグの側は交流戦の重圧を感じないはずがない。

皮肉にも、というべきか。こうした「パ高セ低」の力関係のなかで、交流戦優勝を最後まで争った巨人といえども、この間の貯金は4と、突っ走るところまではいかなかった。

いくらなんでも負けすぎ、のきらいがあった広島も、リーグ内では全く問題ないゲーム差につけている。

解けた2つの「くびき」

厳しい戦いのなかで、采配上の2つの「くびき」が解けた。

抑えの中崎翔太と、連続フルイニング出場を続けていた田中広輔の起用法だ。

失点が目立っていた中崎に代えてヘロニモ・フランスアを充て、9日のソフトバンク戦で今季初セーブ。

そのフランスアも、相手に手も足も出させないという好調時の勢いはなく、それ以降の登板6試合中3試合で失点している。

抑えというポジションがどれだけ難しいか、打たれながらも最後の一線は越えさせず、3連覇の立役者となってきた中崎は、なんだかんだいっても余人をもって代えがたい存在だったのだ、という思いも、今更ながらに去来する。

中崎に代わる抑えを務めるフランスア=共同

「守護神中崎」を守り通してきた緒方孝市監督にとっても、それだけ苦しい決断だったということだろう。だが、チームとしては舵(かじ)を切らざるを得ないところまで来ていた。セ・リーグにとって鬼門の交流戦が、その踏ん切りをつけさせた。

絶対の守護神という存在にこだわらないのであれば、いろいろな継投のバリエーションも出てこよう。あえて抑えを固定しない、という行き方もないわけではなく、今季でいえば、一時の日本ハムや巨人がそうした手法を取っていた。

広島の場合も、フランスアの状態次第では、カイル・レグナルトとの併用も考えられるかもしれない。

打撃の不振が目立っていた田中広は20日のロッテ戦で、新人の小園海斗(報徳学園出)に先発を譲り、2015年4月1日のDeNA戦以来の連続フルイニング出場が635試合でストップした。

翌日には最後までベンチにとどまり、連続試合出場も636で途切れた。

残念ではあるが、この手の「連続系」の記録は、やがて止めるに止められないような、監督にとってやっかいな"モンスター"と化す恐れがある。本人も、周りのだれもが、仕方がない、と思えるところで決断するに限る。

そもそも、今季は3連覇したチームから脱皮し、新しい広島をつくる、という意気込みでスタートしたのだった。救援陣の再編など、やむにやまれずの決断ではあったが、別の角度からみると、采配のフリーハンドが確保されたことにもなる。再開されるリーグ戦に、チーム全体で心機一転、再スタート、という気持ちで臨めるのではないか。

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