信楽事故、遺族団体が解散 「安全発信に一定成果」

2019/6/23 19:39
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信楽高原鉄道(SKR)とJR西日本の列車が衝突し42人が死亡した事故の遺族らでつくる団体「鉄道安全推進会議(TASK)」が23日、大阪市内で総会を開き、団体の解散を正式決定した。活動は国の鉄道事故調査機関の発足に道筋をつけ、被害者支援の充実にも貢献した。共同代表は「公共交通の安全に対する問題意識を社会に広めた」などと成果を総括した。

鉄道安全推進会議の総会で活動を振り返る臼井慈華子さん(23日、大阪市)

鉄道安全推進会議の総会で活動を振り返る臼井慈華子さん(23日、大阪市)

解散の理由について、事務局長で弁護士の佐藤健宗氏は「当初の目標は達成した。中心メンバーだった遺族が亡くなり、後継者も見つからなかった」と説明。初代会長の故臼井和男さんの三女で、事故で姉を亡くした臼井慈華子さん(49)は「やり場のない事故への怒りがこうして実を結んだのは感慨深い。父は今でも公共交通の安全を願っているはず。次の世代がその思いを継いでくれたら」と話した。

TASKは今後、団体に残っている会費や寄付金など計約440万円を管理する組織をつくり、公共交通の安全や被害者のネットワークづくりなどに取り組む団体に寄付する。信楽駅の一角に展示している活動紹介のパネルも、7月に刷新する。更新が途絶えていた97年以降の活動内容を加える。

総会後のレセプションに出席した運輸安全委員会の篠部武嗣事務局長は「TASKの熱い思いが独立性の高い事故調査機関の土台を築いた。まだまだ課題は多く、被害者の声も聞きながら、分析力や発信力を強化していきたい」と話した。

信楽高原鉄道事故は、滋賀県甲賀市(旧信楽町)で1991年、SKRとJR西の列車が正面衝突し、42人が死亡、600人以上が重軽傷を負った。当時、鉄道事故を専門に扱う国の調査機関はなかった。「事故原因を知りたい」との思いから、遺族や弁護士らが93年にTASKを設立。2001年の航空・鉄道事故調査委員会(現運輸安全委員会)発足のきっかけとなり、JR福知山線脱線事故などの遺族も支援してきた。

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