2019年8月21日(水)

ASEAN「インド太平洋の中心に」 独自構想を採択
首脳会議、米中の影響拡大で存在感訴え

2019/6/23 18:40
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ASEAN首脳会議の開会式で記念写真に納まる参加各国の首脳ら(23日午前、バンコク)=石井理恵撮影

ASEAN首脳会議の開会式で記念写真に納まる参加各国の首脳ら(23日午前、バンコク)=石井理恵撮影

【バンコク=岸本まりみ】東南アジア諸国連合(ASEAN)は23日、バンコクで開いた首脳会議で、独自の外交戦略「インド太平洋構想」を採択して閉幕した。米国と中国が影響力拡大を競うインド太平洋地域について、ASEANが「中心的かつ戦略的な役割を果たす」と強調。米中対立を念頭に「対立の代わりに、対話と協調のあるインド太平洋」を目指すと訴えた。

首脳会議後にASEANとして初のインド太平洋構想の統一見解文書を公表した。記者会見した議長国タイのプラユット首相は独自構想について「既存の協力枠組みを補完し、地域の人々の利益を生み出す」と述べた。

インド太平洋地域では中国が広域経済圏構想「一帯一路」を掲げて鉄道や港湾などのインフラ整備を推進する一方、日米などは「自由で開かれたインド太平洋構想」を打ち出す。経済成長率が高く、安全保障上も重要な同地域を巡って米中双方がASEAN各国との経済協力を通じて影響力を強めようとしている。

ASEANは独自構想で、米中と一定の距離を保ちながら双方とケース・バイ・ケースで協力していきたい考えだ。構想の策定を主導したインドネシアのルトノ外相は「世界の大国間の競争を克服することが目的だ」と強調した。

ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャの問題では、議長声明でミャンマー政府に難民の帰還開始へバングラデシュ政府との議論を促した。

一方ASEAN加盟国と中国が領有権を巡って対立する南シナ海問題は首脳会議で採択した議長声明に「懸念」の文言を維持した。2018年にシンガポールで開いた首脳会議の姿勢を保った。

ASEANはこれまでも首脳会議の議長声明で南シナ海問題については「懸念」の表現を盛り込み、中国による一方的な領有権主張をけん制してきた。しかし、今回は議長国のタイを中心にまとめた当初の草案段階で「懸念」の文言を外していたため、最終的な声明での扱いに注目が集まっていた。ベトナムやシンガポールなどから「懸念」の削除に反対が相次いだとみられる。

南シナ海の紛争回避を目的とした「行動規範」の策定については「早期の結論に向けた中国との協力関係の改善を歓迎する」と進展を強調した。

国際政治に詳しいタイのチュラロンコン大学のピティ助教授は「ASEANの役割は地域にとって最も有利になるよう、米中のバランスをとることだ」と言及。「米国に比べて地理的に近い位置にある中国に寄りすぎないよう、一定の距離を保つべきだ」と指摘する。

このほか首脳会議ではASEANと日中韓、インドなど16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)について、年内の合意を目指す方針を再確認した。ただ、インドなどが関税撤廃に難色を示しており、実現には高いハードルが残る。

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