パレスチナへ10年間で5兆円 新中東和平案の一部
対イランで結束強化も

トランプ政権
2019/6/23 18:03
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【ワシントン=中村亮】米ホワイトハウスは22日、パレスチナの経済支援計画を発表した。今後10年間で500億ドル(約5兆4000億円)以上の投資を促し、域内総生産(GDP)を2倍に増やす目標を掲げた。関係国や民間企業に協力を呼びかける。経済支援をテコにパレスチナとイスラエルの和平を模索するが、パレスチナ側はトランプ米政権がイスラエル寄りだとして不信感を募らせている。和平進展へのハードルは高い。

クシュナー米上級顧問(左)が主導するパレスチナ支援会合はイランに対する関係国との結束を固める狙いもある(18日、フロリダ州)=ロイター

経済支援計画は米国が用意する新中東和平案の一部だ。米側には、パレスチナを支援してきたアラブ諸国との結束を強め、対イラン包囲網を狭めていく狙いもある。

トランプ政権は25~26日、中東バーレーンの首都マナマでパレスチナの経済支援の国際会合を開く。米国は支援計画に沿って、各国政府に資金拠出を呼びかけ、民間企業とも具体的な投資案件を議論する見通しだ。

会合にはサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプト、ヨルダンなど米国と関係の良好なアラブ諸国の政府高官も参加する見込みだ。対立するイスラエル政府とパレスチナ自治政府の代表は参加しない。

米国からはムニューシン財務長官のほか、国務省のイラン担当特別代表のブライアン・フック氏も出席する。サウジなどアラブ諸国の多くはミサイル開発や周辺国の武装組織支援をやめないイランを懸念する。米国は中東のホルムズ海峡付近でのタンカー攻撃にイランが関与しているとみている。フック氏は会合に合わせて各国高官と会談し、イラン非難での協調を確認するとみられる。

支援計画は「繁栄に向けた平和」というタイトルで、和平が実現した場合に実施することを想定している。今後10年間で100万人分の雇用を創出し、貧困率を半減させる。電力、水道、通信といったインフラ整備に加え、観光、農業、製造業を支援する。パレスチナと周辺国の貿易を促進する方針も盛り込んだ。

トランプ政権はパレスチナ側との対話再開を目指す。米国は2018年5月、パレスチナ側の反対を押し切り、イスラエルの米大使館をエルサレムに移した。3月にはシリアが領有を主張するゴラン高原の主権を、武力で占領するイスラエルに認めた。パレスチナ側はトランプ政権が中東和平の公平な仲介役になれないと反発していた。

米政権はイランへの対抗を名目にかつて何度も戦火を交えたイスラエルとアラブ諸国の融和を進めてきた。2月に開いた国際会合ではイスラエルとアラブ諸国の代表者がイラン対策を議論した。米政権にはアラブ諸国を味方につけ、パレスチナ側に和平案を受け入れるよう迫る狙いもある。

米政府で中東和平を担うトランプ氏の娘婿で大統領上級顧問のクシュナー氏は声明で「パレスチナ人はあまりにも長く(和平への)過去の非効率的な枠組みにとらわれてきた」と指摘した。「(今回の)支援計画は輝かしく繁栄する将来への枠組みだ」とも強調した。

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