2019年7月24日(水)

日本政府、ハラスメント禁止条約に賛成票 批准は未定

ヨーロッパ
2019/6/22 1:52
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【ジュネーブ=細川倫太郎】日本政府は21日、国際労働機関(ILO)の職場での暴力やハラスメントを禁止する国際条約の採択で賛成票を投じた。セクハラや嫌がらせの根絶に一歩前進した形だが、批准するかは「検討すべき課題がある」として、現時点では未定との立場を示した。

ILO総会では賛成多数で新条約を可決した(21日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部)

ILOの年次総会が開かれたスイス・ジュネーブで取材に応じた厚生労働省の麻田千穂子・国際労働交渉官は「暴力とハラスメントは働く人の尊厳を傷つけるものであってはならず、初めての国際基準ができた意義は大きい」とし、賛成票を投じたと話した。批准するかについては「条約と国内法との整合性などの観点から、さらに検討すべき課題がある」と述べるにとどめた。

21日の総会の本会議で各国政府、労使の代表が投票した。賛成439、反対7、棄権30となり、賛成多数で可決した。

新しい条約は職場での暴力やハラスメントを法律で禁じることを義務付け、必要に応じて制裁を科す厳しい内容だ。保護対象は社員だけでなく、ボランティアや求職者など幅広く、通勤途中やメールでのやりとりなどでも適用する。企業にはリスク管理や防止策を取るように求めた。

批准するかどうかは各国の判断に委ねられ、批准すれば条約に合わせる形で国内法などの制度整備を進める必要がある。日本では5月に職場でのパワーハラスメント(パワハラ)を防止する女性活躍・ハラスメント規制法が成立した。ただ、行為自体の禁止や罰則規定は盛り込まれていない。新しい国際条約を批准するには大幅な修正が求められる。

今回の総会での議論は保護対象などを巡って各国の意見対立も目立った。当初は特に被害を受けやすい人たちとして性的少数者(LGBT)や障害者などを挙げていた。ただ、同性愛行為を禁じているアフリカ諸国が反対し、明確な言及は避けた。各国の事情に配慮するため条約とは別に拘束力のない勧告も設けた。 条約可決後に記者会見したILOのライダー事務局長は「今も多くの男女が職場で苦しんでいる。暴力とハラスメントを止めることが今回の総会からのメッセージだ」と強調した。

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