2019年8月26日(月)

海上のライドシェア、商用化へ瀬戸内海で実証開始

2019/6/24 6:00
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ピージーシステムは海上のライドシェア事業に乗り出す

ピージーシステムは海上のライドシェア事業に乗り出す

システム開発のピージーシステム(広島市)は、チャーターボートや個人所有のプレジャーボートを活用した船のライドシェア事業に乗り出す。ライドシェアアプリの開発や瀬戸内海での試験的な航行などの実証実験を今夏から始め、2021年度の商用化を目指す。島しょ部に暮らす住民に加え、観光客の利用を想定する。定期航路の減便といった地域課題の解消や、海洋観光の活性化につなげる。

実証実験には、愛媛や広島など瀬戸内7県で構成するせとうちDMO(観光地経営組織)などが協力する。今夏にも実験用のライドシェアアプリを開発。乗降する港や航路などをスマートフォンで選択した上で、乗船する船とマッチングする仕組みを検証する。アプリで事前決済できるシステムも組み込む方針だ。

チャーターボートを手掛ける事業者や、プレジャーボートを所有する個人向けには、タブレット端末やスマホなどで予約状況が把握できるシステムを提供し、ライドシェア事業への参加を促す。

ライドシェアアプリの浸透に伴い、島民や観光客の船の利用が増えることで稼働率が上がる利点を訴える。定置網や牡蠣(かき)いかだなどの海上の構造物や、周辺を航行する船の位置情報を統合した海上交通データも提供し、安全な航行を支援する。

初年度には、60隻程度の稼働で1日当たり300人程度の利用を目指す。利用料は1回あたり2000~3000円。一般的な海上タクシーの料金水準に合わせる想定だ。定番の周遊ルートに加え、定期航路がないエリアでの利用も促す。

人工知能(AI)を活用し、利用者に適した瀬戸内海の周遊ルートを提案する機能もアプリに組み込む方針だ。ピージーシステムの佃浩行イノベーション事業部長は「任意で個人のSNSと連携し、過去の投稿や閲覧履歴などから最適な周遊プランの提案をアプリ上できるようにする」と話す。

商用化に向けた課題は桟橋の確保だ。入港や予約申請の手続きは桟橋ごとに異なるため、「自治体や漁業協同組合などとの調整を進める」(佃氏)。桟橋の利用状況や予約管理などを一括で代行するシステムの開発も合わせて検討する。

米紙ニューヨーク・タイムズによる「2019年に行くべき52カ所」で「瀬戸内の島々」が選出されるなど、島しょ部には国内外から注目が集まっている。一方で、人口減少や島をつなぐ橋の整備などを背景に、定期航路は減少しつつある。ライドシェアの事業化で島民の交通手段を維持し、船を使った観光需要を掘り起こす狙いだ。

ピージーシステムは広島市に本社を構え、生産管理などのシステム開発を手掛ける。同社が主導するライドシェアの事業化に向けた取り組みは、AIやあらゆるモノがネットにつながるIoT技術などで地域課題の解決を目指す「ひろしまサンドボックス」にも採択され、3年間で最大1億円程度が充てられる。

(田口翔一朗)

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