サブスク継続へ脱・受け身 導入後も使い方指南

2019/6/23 18:09
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定額で利用し放題のサブスクリプション(継続課金)サービスをけん引するスタートアップ企業が、サービス導入後の企業を積極的にサポートする「カスタマーサクセス(CS)」の取り組みを広げている。サブスク型サービスはクラウド経由のため手軽に提供できる半面、利用企業が離れやすい。導入したらほったらかしという状態は改め、解約を防ぐ「攻めのサポート」を進める。

 ▼カスタマーサクセス(CS) 顧客を成功に導くという意味。従来のカスタマーサポートは問い合わせを待つ受け身の取り組みで、CSは積極的にかかわろうとする考え方。運用法を指南したり、ユーザーが活用法を共有する会合を開いたりと手法は様々だ。
 企業がネット経由のサブスクリプションサービスの使い方を調べたり応用したりする際、サービス提供会社がサイトにあげる説明をもとに自力で対応することが多い。CSの取り組みで解約率を半分に抑えた例もある。

「受け身のままだと解約されてしまう」。こう語るのはスタディスト(東京・千代田)の鈴木悟史社長。同社がクラウドで提供するマニュアル作成ソフトは業種ごとにひな型があり、簡単に写真や動画を入れて作れる。

スタディストは企業がソフトを導入した後も効果的な使い方を提案

スタディストは企業がソフトを導入した後も効果的な使い方を提案

導入企業は累計2500社になったが、使いこなせない企業もある。CS部門を1年前に設け、マニュアルの作り方などの助言を始めた。必要があれば担当が出向く。2019年10月、担当者を7人増やし18人にする。

スタディストの特徴は企業が解約しそうかどうか見極めるところにある。ソフトへのアクセス数などから解約の可能性の高さを割り出し、支援企業の優先度を判断する。

継続課金サービスは経理や顧客管理、ウイルス対策など幅広い。サービス企業は開発に集中し、使い方はほぼ利用企業に任せてきた。企業は初期投資がかからず使いやすいが、機能の複雑化や類似サービスの増加もあり離れがちになった。

2000年代に顧客情報管理の米セールスフォース・ドットコムがCSに取り組み始めた。決まったやり方はなく企業の知恵の絞りどころだ。

経費ソフトのマネーフォワードにはCS担当者が24人いる。見込み客への営業に一部の担当者が同行する。導入後に顧客企業の既存のシステムとどうやって連携させられるか。例えばそんな話が交わされる。

企業にとって経費システムを切り替えるかどうかは全社員にかかわる大きな意思決定。クラウド経費本部の今井義人本部長は「CS担当者が運用方法を適切に伝えることが欠かせない」と話す。

建設用の施工管理アプリを手がけるオクト(同)は、導入企業を対象にアプリを使いこなすための講座を月70回開いている。アプリは同じ現場で働く企業が情報共有に使っている。

情報サービスのアイティクラウド(東京・港)などが今春実施した有職者調査で、CSについて「聞いたことがない」との回答は86%あった。継続課金サービス大手でもCS担当者は約50人で、まだ新しい取り組みだ。ただ経済は所有から利用へ変化しており、継続課金市場は成長する。CSは新しい競争の軸になる。

(駿河翼、若杉朋子)

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