2019年9月18日(水)

社外の個人スキル、企業が渇望 開発・研修に助言

2019/6/24 0:00
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ストリートアカデミーでは個人が得意分野の講座を開き、個人が利用するサイトを運営してきた

ストリートアカデミーでは個人が得意分野の講座を開き、個人が利用するサイトを運営してきた

個人の知識や技術を提供するスキルシェアリングで、企業向けビジネスの競争が激しくなってきた。ビジネス相談のビザスク(東京・目黒)などスタートアップ企業が、マッチングサイトという「場」を提供するだけでなく、一歩踏み込んで企業の求めに合う個人の人選も始めている。社外の知恵を使って開発や研修を進める企業のニーズが高まっており、サービスが進化している。

 ▼スキルシェア シェアリングは部屋や自動車など個人の持ち物をほかの個人が利用する経済のかたち。そのひとつにスキルシェアもある。家事やレッスンなどのほか、知人間で幼児を預けあうケースもある。
 いずれもインターネット上でマッチングする特徴がある。個人が個人にスキルを提供するCtoC市場だけでなく、個人から企業へわたるCtoBの市場も伸びている。

「専門的な見地からアドバイスをもらった」。軸受け大手の日本精工で、製品開発を担う尾崎学士グループマネジャー。新規事業と位置づけるロボット向け部品で、どんな需要があるか確認するため、ビザスクを介して3人の助言を得た。商品開発、新規事業、マーケティングの経験者だ。

リストを提示

ビザスクは同社に登録する個人9万人から、日本精工に合う助言者をリストにまとめて提案した。この案件に助言したい人を公募したもので、募集に応じた人たちの経歴などの情報を加えてある。同社はこうしたサービスを月内に「ビザスクWeb展示会」として始める。対面や電話で最大3人に相談し、料金は1回40万円だ。

従来は企業自ら個人のプロフィルをみて、知見があるか、助言をもらえるかを確認するのが一般的だった。ビザスクは2013年にサービスを始め、マッチング数が累計で約4万件に増える中で「知りたいことにフィットした人の助言を早く得たい」という需要が高まっていた。

ネット上で個人のスキルを企業につなぐ市場では、データ入力やイラスト作成などをやりとりするクラウドソーシングが成長した。上場企業のクラウドワークスと、ランサーズ(東京・渋谷)を他社が追う。

本格参入するのがストリートアカデミー(同)だ。ある大手商社で月末、米マイクロソフトのメールソフト「アウトルック」の講座を開くのは、普段は大手企業で働く男性会社員だ。「男性の場合、会社で副業が認められているから企業に送り出せる」とストリートアカデミーは説明する。

フリーランスが支え

同社が月内に始める新サービスは1年間や半年間にわたり月1回、講師を送り込む。需要を聞き取って同社がふさわしい人を選ぶ。講師のランクごとに価格帯を分け、1回8万円で全12回などのコースを設ける。

これまでは、先生役の個人が講座を開く場所や日程をネット上にあげ、それをみた個人が参加を申し込む仕組みを提供してきた。個人向け市場から、新たに企業向けに入っていく。

「封筒や名刺を一括して受注でき、まとまった収入になる。企業の案件は5割のペースで増えている」。ロゴの作成などを請け負う神奈川県在住の山本昂二さんはフリーランスだ。新興企業に加え、規模の大きい企業の問い合わせが多くなったという。

山本さんがスキルを売るのはココナラ(東京・品川)のサイト。同社も今夏、法人コンサルタントという担当者を設け、企業が求めるスキルを持ったサービス提供者を提案していく。

登録する個人 質の競争

国内のスキルシェア市場は企業の需要で伸びていく。シェアリングエコノミー協会(東京・千代田)と情報通信総合研究所によると、国内のスキルシェア市場規模は2030年度に9700億円に及ぶ。スキル提供者の収入などから算出した。

同研究所の山本悠介氏は、人手不足が深刻になる一方で研修や開発のために「雇用を増やして人件費を抱えるのはリスク」と話す。社外の知恵を生かす流れは続く。

日本では10年代にスキルシェアが始まった。マッチング企業にとって登録する個人の質が競争の軸になり始めている。

海外の動向が参考になる。米GLGは1998年、専門家のプラットフォームを立ち上げた。元政府高官や研究者ら65万人を超える専門家が登録しており、東京を含め22の拠点を持つ。

同社は「知見は国境を越える。世界から助言を受けられる強みがある」と説明する。日本では2007年にスタートした。日本勢も専門家のネットワークづくりと海外展開が課題だ。

(斎宮孝太郎)

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