2019年7月16日(火)

検察・警察の不手際次々に 「出頭するはず」前提

社会
2019/6/21 13:34
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服役させるため、横浜地検が収容しようとした男が逃げた事件は、検察と警察の対応のまずさが次々と明らかになってきた。保釈されても実刑が確定すれば、出頭してくるはずだという「性善説」に立つ現行制度の課題も浮かぶ。

小林誠容疑者(43)が19日午後1時すぎに自宅から逃走した後、現場から神奈川県警厚木署に連絡が入ったのは午後1時20分ごろ。署から県警本部への連絡は午後3時ごろになった。この間、検察事務官や署員は、妻から事情を聴き、小林容疑者が向かった可能性があるトランクルームを訪れるなどしていた。

本部の刑事総務課は署に対し、緊急配備を敷くため本部の別の部署に伝えるよう指示したが、連絡は午後3時34分にずれ込み、実際の配備は午後5時46分だった。

検察側から自治体への連絡も後手に回った。小林容疑者の自宅がある愛川町に連絡したのは午後4時45分ごろ。隣接する厚木市への連絡は午後4時すぎで、市の担当者は「下校時間を過ぎており、もう少し早く教えてくれれば」と話す。

小林容疑者の車が厚木市内で見つかったことは連絡すらなく、市は20日早朝に報道で把握。急きょ公立小中学校の登校見合わせを決め、その後、休校とした。

在宅起訴されたり、小林容疑者のように保釈されたりした後、裁判で実刑判決が確定し、刑務所に収容される前に逃げた人物は「とん刑者」と呼ばれる。法務省によると、2018年末時点で全国で26人いるという。

検察幹部によると、実刑確定後の収容方法を定めた統一的なマニュアルはなく、各地検の運用に委ねているのが実情だ。暴力団関係者や抵抗が予想される場合は警察に同行を依頼することもあるが、検察事務官だけで向かうことが多いという。

ある検察幹部は「呼び出したら来るというのが制度の前提となっていて、逃走は想定されていない」と明かす。

裁判員制度開始後、被告が弁護人と打ち合わせる機会を十分に確保すべきだと認識されるようになり、保釈率は上昇。この幹部は、こうした現状があるのに「どうすれば確実に収容できるのかという議論が進んでいない」との懸念を示した。

元検事の高井康行弁護士は「まさか暴れて逃げることはないという油断があったのではないか。出頭要請に応じない時点で逃走の恐れが十分にあると判断すべきであり、検察側の不注意だ」と指摘。一方で「出頭しなければペナルティーを科したり、保釈中に起こした犯罪への法定刑を重くしたりするなど、今回の事件を教訓に新たなルールを考えていくべきだ」と話した。〔共同〕

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