英中銀、政策金利を維持 景気見通しは下げ
【ブリュッセル=篠崎健太】英イングランド銀行(中央銀行)は20日、政策金利を年0.75%で据え置くと発表した。今後の金融政策は、英国の欧州連合(EU)からの円滑な離脱を前提に「緩やかかつ限定的な引き締めが適当」との判断を維持した。ただ景気見通しは引き下げ、EUからの「合意なき離脱」に対する懸念の高まりも挙げた。利上げ路線の継続には暗雲が垂れこめている。

政策金利の維持は、19日まで開いた金融政策委員会で9委員の全会一致で決めた。2018年8月に0.25%上げた後、7回連続で据え置いた。
5月の前回と比べ景気認識は後退した。4~6月期の英実質国内総生産(GDP)成長率は横ばいと予測し、従来の前期比0.2%増から下げた。議事要旨によると、委員は「世界の経済成長率の下振れリスクは高まった」との見方を共有した。米中の貿易摩擦が激しくなるなか、世界経済を取り巻く環境は「直近数週間でやや不透明になった」との認識を示した。
EU離脱をめぐっては、金融市場が認識する「合意なき離脱」の予想確率が高まっているとし、リスク要因として注視する方針を示した。
イングランド銀は17年11月に利上げに転じた。労働需給の引き締まりによる国内のインフレ圧力を踏まえ、緩やかな引き締め方針を維持してきた。だが足元で世界経済の見通しが陰るなか、市場では利上げ観測が後退している。