「賢く縮む」か高知県 人口70万人割れでも成長めざす

2019/6/21 7:13
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高知県は20日、6月1日時点の県内人口が75年ぶりに70万人を割ったと発表した。1990年に全国に先駆けて死亡者数が出生児数を上回り、65歳以上の人口が15歳未満の3倍を超えるなど少子高齢化が急速に進む。今後は移住促進などで人口減のペースを抑え、地域経済を縮小させることなく「賢く縮む」施策が求められることになる。

県がまとめた県内推計人口によると6月1日時点で前月から632人減り69万9522人となった。自然減が588人、転出が転入を上回る社会減が44人だった。70万人割れは44年の69万2565人以来。最も人口の多かった54年の89万4119人から2割以上、減ったことになる。

70万人割れの要因について県統計分析課は自然減によるものと説明する。高知は75年以降、合計特殊出生率が一貫して2.0を下回っている。ここ数年はわずかながら全国を上回っているものの、人口を下支えするには至っていない。直近の10年間でみると人口は7万人ほど減り、そのうち7割が自然減で社会減の割合は減った。

尾崎正直知事は同日、「今後も人口減少が続くことは避けられない情勢にある」と認めた。その上で「人口減が続く中で大切なのは、(自然減が始まった)かつてのように縮む経済に陥ることなく拡大基調をたどることだ」と強調した。

人口減の中でも地域経済の活力を維持するには若者世代の移住促進が欠かせない(高知市内)

人口減の中でも地域経済の活力を維持するには若者世代の移住促進が欠かせない(高知市内)

具体的には産業振興計画をさらに進めるとしている。食品を中心とした地場産品を県外に売り込んだり県内で起業を促し若者の雇用の場をつくったりする。

県は成果が出始めているとする。2001年度から08年度に県民所得は14%減ったが、同計画が始まった08年度から15年度までの同じ8年間で15%増加したという。人口が減っても、1人当たりの県内総生産がそれを上回って伸びれば、県内経済は成長を維持できる。人口減が進む令和の時代に「賢く縮む高知」を目指す。

土佐経済同友会の弥勒美彦代表幹事も「賢く縮む」派。地域間競争で高知が生き残るには「輝く田舎を目指すしかない」と話す。県民所得が伸びたとはいえ全国水準からみれば低い。「だがおおらかな県民性もあり、豊かな自然と食を満喫し幸福度は高い。そんな風土を発信して移住につなげたい」と弥勒氏。

さらに続ける。「高知は女性の登用がいまひとつ。人口が減る中、働き手として女性は不可欠。能力があれば管理職にするなど男女共同参画社会を築く必要がある」

明るい兆しもある。18年度の移住者が前年度比1割増の1325人と8年連続で増えた。その8割が20~30歳代で夫婦、家族による移住が多い。こうした「若者」に豊かな自然を生かした暮らしと、女性も働きやすい職場を用意することが、より多くの「県民」と地域の活気を生み出す妙手となる。(保田井建)

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