国連によると、65歳以上の人口に対する25~64歳までの現役世代の人口の比率を示す「潜在扶養率」は、2020年の推計で日本が1.8と世界で最も低かった。2人に満たない現役世代が高齢者1人を支える計算だ。現役世代は社会保障制度を通じて高齢者を支えるが、その負担が重くなっている日本の現状が改めて浮き彫りになった。
15年の推計値の1.98から悪化した。調査対象となった約200の国・地域のうち扶養率が2を下回ったのは日本のみ。
主要国ではフランスの扶養率が2.4、ドイツが2.5と、日本ほどではないが、欧州の先進国でも現役世代の負担が大きくなっている。一方で負担が小さいのはナイジェリア(12.6)や、サウジアラビア(16.8)など、出生率が高い中東・アフリカ諸国だ。世界平均は5.3だった。
ただ、世界全体の扶養率は下落傾向にある。経済成長に伴う平均寿命の延びや、先進国で晩婚化が進行していることなどが背景にある。2019年時点で、扶養率が3を下回るのは日本を含めて30カ国・地域だが、50年には欧米や東南アジアなど48カ国・地域で2を下回る見込みだという。
国連は扶養率の低下について「高齢者のための公共システムや年金などを整備・維持しようとする国への財政的な圧力となる」と指摘し、既存の社会保障制度を維持することがますます難しくなると分析した。