米、25日にもパレスチナ経済支援発表か 総額7兆円の報道
新和平案は2段階で提案も

2019/6/20 19:30
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【カイロ=飛田雅則、ワシントン=中村亮】トランプ米政権が25日にもパレスチナに対する経済支援を発表する見通しになった。難民などを受け入れている周辺諸国に対する分も含め、支援額は計650億ドル(約7兆円)にのぼるとの報道もある。米国が用意する新たな中東和平案の一部で、政治面でパレスチナに譲歩を迫る見返りだとみられている。パレスチナ側は、新和平案がイスラエル寄りの内容になるとみて、強く反発している。

トランプ米大統領、イスラエルのネタニヤフ首相の写真を燃やして抗議するパレスチナの人々(18日、ガザ)=ロイター

和平案は「経済面」と「政治面」に分けて公表される見通しだ。米政府は25日から2日間、バーレーンでパレスチナ支援の国際会議を開き、振興策を示す予定だ。これが経済面で、政治面はイスラエルで9月に予定される総選挙の後になりそうだ。パレスチナ自治政府などに対し、経済面の支援策を先に示し、時間をおいて、何らかの譲歩を迫る政治面を示す2段階の提案で新和平案を受け入れさせようという米側の意図が透けてみえる。

25日からの国際会議にはサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプトなど米国と関係が良好なアラブや欧州の国々の閣僚級が参加する。米メディアは、米不動産投資会社コロニー・キャピタルのトム・バラック最高経営責任者(CEO)などトランプ大統領と近い実業家も多数参加すると伝えている。

米国やイスラエルでの報道によると、米はアラブ諸国などから資金を募り、10年間で計650億ドル前後の支援を実施する計画だ。パレスチナで道路、電気供給などインフラ整備を進めるほか、多数のパレスチナ難民を抱えるヨルダン、隣接するエジプトも援助する。

世界銀行によると、パレスチナの実質成長率は2017年に3.1%で、18年はゼロ%だった。投資受け入れが伸び悩み、イスラエルによる経済封鎖からも打撃を受けている。18年の失業率は30%台で、住民の不満が政情不安につながっている。

新和平案の「政治面」の内容は詳細は明らかになっていない。1948年のイスラエル建国時に多くのパレスチナ住民が土地を奪われ、難民となった。いまではパレスチナに自治政府があるが内部は分裂含みだ。イスラエルとパレスチナの和平協議はこれまで、2国家の共存が前提だったが、政治面の内容がこれを踏襲するかどうかわからない。イスラエルが自治区のなかに建設した入植地を同国領に組み入れるとの臆測も流布している。

トランプ政権は遅くとも2月までに新和平案を公表する意向を示していた。ところがイスラエルのネタニヤフ首相は総選挙を4月に前倒しして実施した。ネタニヤフ氏の与党は勝利したが、連立協議が不調で、9月に再び総選挙を迎える。新和平案はイスラエル側にも一定の譲歩を求めるとの見方が強い。ネタニヤフ政権は新和平案の全容の公表を、選挙後に先送りするようトランプ政権に求めているもようだ。

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