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バドミントン渡辺、男子/混合のダブルス二刀流で頂点へ

躍進が続く日本バドミントン界で、前例のない2種目での五輪チャンピオンを目指す選手がいる。男子と混合の両ダブルス日本代表の渡辺勇大(22、日本ユニシス)。最新の世界ランキングでは両種目ともトップ5に入る。二刀流を長く志してきた異端者は、生まれ育った東京で歴史を変える意欲にあふれている。

男子ダブルスの激しいラリー戦を制すと、数時間後には混合ダブルスのコートを走り回る。年間を通して世界を転戦する日本代表の中でも、渡辺はとりわけ忙しい日々を送る。昨年12月、トップ8組が集うワールドツアーファイナルでは5日間で2種目、9試合に出場。終盤は疲労が色濃く見えたが、それでも男子ダブルスでは準優勝、混合ダブルスでもベスト4に入る活躍だった。

スピードとパワーの応酬となる男子ダブルスと、男女の体格差を生かした緩急を駆使する混合ダブルス。プレースタイルが異なることもあり、国内では両種目を同等にこなす選手がほとんどいなかった。167センチと小柄な体格に加え、前者では前衛、後者では後衛とコート内の役割も違う渡辺にとってみても、かかる負担は小さくない。

ただ、渡辺は「(男子)ダブルス、ミックス(混合)は自分が輝ける場所。どっちが、とかは僕にはない」と言い切る。高校1年時にはすでに2種目で世界を目指すと決意。2017年、A代表に入りたての頃は「二兎(にと)を追う者は一兎(いっと)をも得ず」と難色を示していた関係者も、今では「想像を上回るレベル」と、その意志の強さと成長ぶりにうなるほどだ。

東京都出身。バドミントン選手だった父の影響で小学2年生で競技を始めた。福島県の強豪・富岡第一中に進学し、中学2年で1学年上の東野有紗と初めて混合ダブルスでペアを結成。持ち前のスピードと、巧みなフットワークを使った守備を武器に、富岡高では男子ダブルスで全国高校選抜を2度制した。

入社後は東野と再タッグ。男子ダブルスではリオデジャネイロ五輪代表で11学年上の遠藤大由とペアを組み、渡辺の本格的な二刀流への挑戦が始まった。

前例のない道を進むうちに、渡辺にしか得られない発見が増えていった。「ミックスではカバー力が必須なので、ダブルスで遠藤さんが前に攻めた時もコート全体を見てカバーできる」。男子ダブルスで前衛を務める経験を生かし、混合ダブルスでは時にネット前でラリーを組み立てる。「2倍のトライができて、成果も2倍。(手札が)どんどん枝分かれしていくし、損はない」

昨年3月に混合ダブルスで日本勢で初めて全英オープンを制し、秋には男子ダブルスでもペアを組んで初のツアー優勝。安定した成績を残し始めた一方で、勢いがしぼむ危機感もあるという。「今は一度足元を見て、基盤を大きくする時」。配球の精度を突き詰め、パワー強化にも余念がない。代表レースが本格化する中、恐れずトライ&エラーを繰り返す。

「1種目に絞ったほうが」と今なお聞こえる外野の声を振り払い、渡辺の視界の先には明るい世界が広がる。「自分はまだまだ(選手として)卵の段階。誰もやったことがないなら、自分がやるだけ」。8月中旬開幕の世界選手権は「もちろん両種目で勝つ」。迷わず信じた道を突き進むつもりだ。(堀部遥)

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