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「強いハート」でよく考える 深水氏(運用の達人)

2019/7/1 12:00
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投資信託の運用を担うファンドマネジャーは、目まぐるしく変化する相場と常に向き合い、投資信託の成績向上を目指して格闘する運用のプロだ。「達人」の相場観や実績に裏打ちされた信念は、資産形成に取り組む個人投資家にもヒントになる。

今回話を聞いたのは、JPモルガン・アセット・マネジメントで「JPMアジア・成長株・ファンド」などの運用を担当する深水悟朗ポートフォリオ・マネジャー。運用スタイルは、アジア株を対象としたグロース(成長)株投資だ。銘柄選びや運用のプロセスなどを聞いた。

――今の株式相場をどうみていますか。

JPモルガン・アセット・マネジメントの深水ポートフォリオ・マネジャー

JPモルガン・アセット・マネジメントの深水ポートフォリオ・マネジャー

「米中貿易摩擦の激化は懸念事項ですが、米国も中国もそれぞれのトップが目指すものは継続的な経済成長です。両大国のけん制は今後も続きそうですが、求めるものが同じであれば、どこかで妥協案を見いだせると思っています。長い目で見れば、政治と企業業績は別のもの。我々は国に投資しているのではなく、あくまで個別企業に投資しているので、政治情勢に影響されない成長企業をこれからも発掘していきます」

――新興国に投資するリスクは。

「新興国の企業のリスクは先進国と比べるとガバナンス(企業統治)の質が低い点です。それをカバーするためにはデューデリジェンス(資産査定)が重要で、弊社では現在『レッドフラッグ』というリスク判定項目を活用しています。最近注目されているESG(環境・社会・企業統治)の観点を含む100近くの当社独自の項目によって各企業を評価しており、このうちリスク項目が一定水準を超えると投資比率を落とすなどの手段を取るようにしています」

――1日の業務の流れを教えてください。

「午前中は、世界各国のグループのアナリストが作成したリポートに目を通します。その後、香港やシンガポールの同僚とマーケットや個別銘柄の情報を共有し、これらの情報を基にポートフォリオの入れ替えを決めます。午後は投資先企業との面談、電話取材等にあて、週のうち3日は夕方に香港やシンガポール、ロンドン拠点の同僚とビデオ会議で意見交換をします」

――銘柄選定のポイントは。

「銘柄選定には、グループ内にある3つの情報ソースを使います。アナリストからの情報、クオンツアナリストによる定量分析データ、担当する国や地域の株式を運用するカントリースペシャリストからの情報です」

「グループのアナリストは、徹底した企業取材などを通して企業の長期業績を予測します。それをもとに担当銘柄の予想株価リターンを計測し、その業種内での相対的な割安(魅力)度を測ります。加えて参考にするのは、クオンツアナリストが定量的に算出するクオンツスコアです。クオリティー(質)やバリュー(割安)、グロース(成長)など、ファクターごとのスコアを見ながら、質が高く成長性が高い銘柄を選びます」

「アナリストがカバーしきれない現地の中小型株などの情報は、カントリースペシャリストの意見も参考にします。彼らはその国のマーケットに特化しているので、詳細な情報を提供してくれます」

――組み入れ銘柄の成功例を教えてください。

「自分の日常の中にある『興味』を投資アイデアにつなげられたことがあります。数年前、韓国のとある歌手グループの曲を聴いていたのですが、エンターテインメントビジネスの観点から成長性があると思い、そのマネジメント事務所の株をファンドに組み入れたことがあります。もちろん定量的な分析を慎重に行った上で、その銘柄の成長性の確信を強めました。その後、グループの曲は日本でもヒットし、事務所の株価が上昇してファンドのパフォーマンスに貢献しました」

「日常にある一つ一つの事象は、一見つながりがなさそうに見えても、必ず株式市場に跳ね返ってくると思っています。このケースは運用者ならではの醍醐味を味わえた成功例です」

――ファンドマネジャーに必要な資質は何だと思いますか。

「1つ目は『よく考える』ことです。ファンドマネジャーにとって何よりも大切なのは将来を読む力ですが、1つの事象を見てその先に何が起きるのかをよく考えることで、予測する力が身に付いてきます。日常生活でもこのことを意識するようにしています」

「2つ目は『強いハート』です。組み入れている銘柄の株価が大きく下がったときは、やはり精神的につらいです。夜、寝付けないこともあります。そうならないためにも『強いハート』を持ち、焦らない力をつけることが重要です。その銘柄を選んだ自分に迷いが生じないように、買う時にはしっかりしたポリシーを持ってよく考えて判断すること。これは1つ目の資質にもつながる大切なことだと思います」

(QUICK資産運用研究所 望月瑞希)

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