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2つの「カクド」で銘柄選定 秋元氏(運用の達人)

2019/6/24 12:00
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投資信託の運用を担うファンドマネジャーは、目まぐるしく変化する相場と常に向き合い、成績向上を目指して格闘する運用のプロだ。「達人」の相場観や実績に裏打ちされた信念は、資産形成に取り組む個人投資家にとってもヒントになる。

今回話を聞いたのは、三菱UFJ国際投信で「三菱UFJ チャイナオープン」などの運用を担当する秋元政隆チーフファンドマネジャー。運用スタイルは、アジア株を対象としたグロース(成長)株投資だ。銘柄選びや運用のプロセスなどを聞いた。

――アジアの株式相場をどうみていますか。

三菱UFJ国際投信の秋元政隆チーフファンドマネジャー

三菱UFJ国際投信の秋元政隆チーフファンドマネジャー

「アジア企業の財務体質は強くなってきていて、長期的には今後も高い成長が期待できると考えています。足元は米中貿易摩擦の混乱で投資家のリスク選好度が落ちていますが、2019年後半にかけて企業業績が少しずつ上向き、株価は底堅くなるとみています」

「アジア株の魅力は成長力の高さです。人口が増え続ける中、製品や商品・サービスなどの市場拡大は利用者が増えただけでなく、市場の深化によるところもあります。例えばこれまで髪を洗うのに月1回しかシャンプーを使っていなかった人が、週1回使うようになるだけで需要は4倍に伸びます。先進国株ではなかなかこれだけのダイナミズムは味わえません」

――日常業務の流れを教えてください。

「毎朝9時からのチームの朝会で前日の米国市場の動向や各国のマクロ経済指標、決算情報などを確認し、香港にいる運用チームとも認識を共有します。普段はメールや電話で情報を集めて分析していますが、投資銘柄の選択では企業との面談を重視しているので、四半期に1回は現地に行って15~20社程度を訪問します。実際に会って話を聞ける企業にしか原則投資はしません」

――銘柄はどういう方法で選んでいますか。

「2つの『カクド』で選定します。1つ目は成長ペースの『角度』です。どれくらいのスピードでどの程度の成長が期待できるのか。2つ目はその成長が実現する『確度』です。日々の情報収集や取材を通して銘柄ごとの成長力を分析し、その確信度合いを深めていきます。この2つの観点で徹底的に調査・分析し、納得いく銘柄を組み入れます。アジアは各国で経済の成長ステージが異なるので、マクロ的な観点からの産業分析や競争環境分析も重要です」

「アジアでは固定電話が広く普及する前に携帯電話やスマートフォンが一気に普及したような『リープフロッグ(カエル跳び)』と呼ばれる現象が起き、先進国を凌駕(りょうが)するスピードの成長パターンをたどることがあります。それを先読みすることが大事なのではありません。銘柄発掘でフロントランナーになる必要はなく、じっくり『カクド』を見極め、しっかりとその成長ストーリーを理解して買うことが重要なポイントだと思います」

――重視している指標は何ですか。

「売上高です。営業利益率や純利益率が下がっていても、それだけではあまり気にしません。それ以上に売り上げが伸びていれば営業利益や純利益も増えているはずだからです。成長力の高い銘柄を多く組み入れるのが新興国株投資の特徴です」

――組み入れ銘柄の成功例を教えてください。

「インドで自動車部品を製造するマザーソン・スミ・システムズは早い段階で組み入れました。業績見通しなど定量面がしっかりしていたのはもちろんですが、投資の決め手になったのは、工場が清潔に整備されていたことや、従業員の研修制度が充実していたことなど数字に表れない部分です。同社はその後にアジアの有望な企業で構成される日経アジア300指数にも採用され、ファンドのパフォーマンスに大きく貢献しました」

――ファンドマネジャーに必要な資質は何だと思いますか。

「合理的な思考力とバランス力です。合理的な思考力とは、例えば売上高が増加するという仮説をたてた場合、なぜ増加するのか、なぜこの商品は売れるのかなどの自問を繰り返し、その筋立ての確度を論理的に追究する姿勢です。バランス力は何かひとつに固執しないこと。ポートフォリオ全体の最適化を考えて投資判断することが安定的なリターンにつながります」

「新興国株投資では『郷に入れば郷に従え』のスタンスも必要かもしれません。現地の企業訪問に行くとミーティング中に珍しい食べ物をすすめられることがあります。日本人からはグロテスクに見える料理もありますが、断らないようにしています。同じ料理を囲むことで相手との距離感が縮まるのを実感しています。幸いこれまでおなかをこわしたことはありません」

(QUICK資産運用研究所 望月瑞希)

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