2019年7月22日(月)

FRB議長「逆風強まる」 貿易戦争懸念、物価も停滞

北米
2019/6/20 7:00
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【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は19日の記者会見で「世界景気への逆風が強まっている」と懸念を表明した。先行きの金融政策も「多くのメンバーが幾分かの利下げが適切だとみている」と明言し、金融緩和への転換が近いことをにじませた。米中の貿易戦争で企業心理が悪化し、政策目標である物価上昇率も停滞していることを不安視した。

19日、FOMC後に記者会見するパウエルFRB議長(ワシントン)=ロイター

FRBは2015年12月に利上げを開始したが、18年12月を最後に金融引き締めを休止している。利下げは金融危機直後だった08年12月が最後で、量的緩和の第3弾(12年9月~14年10月)を最後に緩和政策はとってこなかった。

米景気は拡大局面が丸10年に近づき戦後最長を更新する勢いだが、パウエル議長は19日の記者会見で「世界景気の力強さに懸念が広がっている」と指摘した。貿易戦争で輸出入が減退しているほか、米製造業の景況感指数も5月には2年7カ月ぶりの水準まで低下。企業心理の悪化が設備投資や雇用を下押しすれば、息の長い経済成長に黄信号がともりかねない。

肝心の物価上昇率も6カ月連続で目標の2%を下回ったままだ。19日公表した17人の会合参加者の19年の物価見通しは1.5%と、前回3月時点の予測(1.8%)から大きく低下した。パウエル議長は「物価の停滞が長引けば(企業や消費者の)インフレ予測も回復しがたい急降下に見舞われかねない」と指摘。物価を引き上げるため、早めに金融緩和に踏み切る可能性もにじませた。

ただ、FRBが検討する金融緩和は、現時点では小幅な「予防的な利下げ」(クラリダ副議長)にとどまる。FOMC参加者17人の政策見通しでは、7人が19年中に0.5%の利下げを見込むものの、20年以降にさらに政策金利を引き下げるとの予測はなかった。21年には再び利上げを再開するシナリオが中央値となっており、本格的な景気悪化を警戒しているわけではない。

米経済は失業率が約半世紀ぶりの水準まで下がり「米経済の7割を占める家計消費は底堅い」(パウエル氏)。低金利が一段と長引けば、金融資産は不動産などでバブルを招くリスクもある。貿易戦争で弱含んだ企業や消費者の心理を立て直す「予防的利下げ」がどこまで有効かは見えてこない。

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