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米国・欧州株概況

「貿易摩擦、深刻な不確実性」 FRB議長会見要旨

北米
2019/6/20 6:26 (2019/6/20 8:58更新)
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19日、FOMC後に会見するパウエルFRB議長(ワシントン)=ロイター

19日、FOMC後に会見するパウエルFRB議長(ワシントン)=ロイター

【ニューヨーク=後藤達也】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は19日、米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に記者会見した。発言の要旨は以下の通り。

今回のFOMCでは、政策金利は据え置いたが、声明で重要な変更をした。年明け以降、政策運営はおおむね適切で、変更するかどうかを見極めるには忍耐強くあるべきだと判断してきた。(しかし今回の声明では)不確実性が高まり、物価上昇圧力が抑えられている点を踏まえ、景気見通しに関する今後の情報を注視し、堅調な雇用と2%程度の物価上昇を伴った景気拡大を維持するために適切に行動することを強調した。

経済・金融情勢は次の通りだ。景気はいまのところ非常に良好で、力強い雇用を支えている。物価上昇率は目標をやや下回っているが、底堅い成長と強い雇用を背景に持ち直すとみている。一方で、貿易動向と世界景気への懸念といった逆風に留意している。前回の5月のFOMC会合では、この逆風は和らいだという兆しがあった。中国と欧州の経済指標は心強い内容で、米中貿易交渉も前進を伝える情報があった。FOMCは政策金利を調整する必要性は低いと考えていた。

(しかし)前回会合から数週間のうちに、再び逆風が現れた。海外の経済指標は全般に弱かった。貿易摩擦は一段と深刻な不確実性に変わり、企業や農家から貿易摩擦の動向に強い懸念が報告されている。金融市場の心理も悪化し、物価上昇率は依然として抑制されている。

経済の中心的な見通しは依然良好だが、これらの不確実性が重荷となり、金融政策の追加的な政策対応が必要となってくるかが重要だ。多くのFOMC参加者はより緩和的な政策をとる必要性が高まっていると考えている。

失業率は引き続き低いとみている。5月の雇用の増加は予想されたよりも低かったが、多くの雇用指標は引き続き堅調だ。賃金は低所得者層を中心に上昇している。19年の経済見通しは3月とほぼ同じだ。中心的な見通しは2.0~2.2%で、長期的な(潜在)成長率の試算をわずかに上回っている。個人消費は堅調に伸びているが、設備投資の伸びが4~6月に鈍化し、製造業の生産も減少している。

物価上昇率は2%に向かっていくとみているが、予想されたよりも遅いペースになりそうだ。生鮮食品とエネルギーを除いたコアの物価上昇率は19年で1.7~1.8%を見込んでいる。会合では2%に戻っていくペースについての懸念も挙がった。賃金は上昇しているが、物価の力強い上昇につながっていない。世界経済の減速で物価も世界的に上がりにくくなるかもしれない。

我々は、2%の物価目標の達成に全力を尽くす。経済が健全で物価上昇の鈍い状況が続くと、予想物価上昇率が止められないほど低下するおそれがある。金融市場では予想物価上昇率が5月以降低下した。FOMCはインフレが目標を下回る状況がさらに続くことを懸念している。

FOMCの政策論議は不確実な環境に対する適切な対応をとることに焦点を当てている。(19日公表した)政策見通しでは、利下げを記入した人もいれば、しなかった人もいるが、利下げなしと記入した多数の参加者も、追加的な対応の必要性が高まったという点では同意している。この措置は経済活動と物価上昇率が目標へ戻るのを支えるだろう。

経済の基本見通しを取り巻く不確実性は前回会合以降明確に高まった。しかし、金融政策は個々のデータや短期的な心理の振れに過剰に反応しないことも重要だ。過剰反応は見通しへの不確実性をさらに悪化させる。私たちはこうした不意確実性が経済見通しに影響を持ち続けるかどうか確認し、経済活動を支えるために適切な政策手段を活用するつもりだ。

――次のFOMC会合の前に利下げをする可能性は。

「今回のFOMCでは経済・金融情勢について長い議論を交わした。それらの相対立する傾向を注視し、そのリスクが経済見通しに影響を与えるかどうか見極めたいという結論に達した。FOMCメンバーの8人が利下げの必要性が高まったとみているが、経済の逆風は最近になって顕著になったため、今後の情報を吟味したいと判断した。次のFOMCまでに変化が鮮明になり、データの全体像が明らかになると確信している。景気拡大を支えるために必要な手段を活用する準備は整っている」

――米中貿易協議が合意すれば利下げの可能性はなくなるか。

「我々は1つの事象だけを見ているわけではない。米中貿易摩擦は景況感を左右する重要な材料だが、同時に世界経済の拡大にどう影響を与えるかをみている。米国では個人消費は堅調で賃金も上昇している。企業収益や物価の鈍化、雇用の伸びなどについて、3~6カ月の基調をみた上で判断する」

――トランプ米大統領がFRB議長を降格するよう働きかけたらどうするか。

「法律は明確であり、規定されている4年の任期を全うするつもりだ」

――利下げに踏み切るまでの期間が長すぎるリスクと早すぎるリスクについてどうみるか。

「経済動向の変化が最近になって現れてきただけにしばらく様子を見ることが適切だと考える。(利下げまで)待ちすぎるというリスクは顕著ではないとみている。短期的には現状を注意深く監視し、そのリスクが景気見通しに影響を与えるかどうかを見極めるのが大切だ。もちろん時期尚早の利下げは避けたい。ただ、利下げの必要性を高める経済リスクが浮上しているのは確かだ」

――FRB議長になって初めての反対票が出た。

「熟慮された反対意見が出るのは健全なことだ。だが、FOMCの決定には極めて広範な支持があった」

――ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が追加緩和を検討することを表明した。

「世界のすべての中央銀行は自国の経済に照らして目標を設定しており、ECBもそれを実行している。我々も同様だ」

――1度に0.5%の利下げに動く方が適切という意見がある。

「どの程度積極的に利下げに動くかどうかはこれから出てくるデータ次第の議論だ。ただ、具体的な政策見通しについては私からは何も話せない」

――エリザベス・ウォーレン上院議員が貿易赤字解消のためにドル高是正策を主張している。

「為替政策の責任は財務省にあり、FRBではない。我々の役割は最大限の雇用と物価安定を保つことだ。もちろん金融市場の動向次第でドルの為替介入をするが、われわれはドルの目標水準を設定することはしない。G20(20カ国・地域)会議でも中銀の金融政策の照準は国内経済と金融市場で、為替レートではないと確認した」

――現在、利下げをした場合のリスクは。

「今回のFOMCでは利下げを支持する声はあまりなかった。今後の利下げを必要とみる人も、利下げに動く前にもう少しデータを見たいという姿勢だった。その理由は、経済情勢の変化は非常に最近になって顕著になったのでそれが持続的なものかどうかを判断したかったということだ。最終的には現在見えているリスクが続いて我々の経済見通しに影響を与えるかどうかを問いたい。そして景気拡大を維持するために必要な政策手段を使うのが適切かどうかを判断した場合には迅速に動く」

――全体的に強い成長だが、製造業景況感や物価上昇率は弱い。政策判断で特に注視しているものは。

「我々は全てのデータをみている。基本となる経済見通しは良い。個人消費は健全な水準にある。労働市場は逼迫し、賃金も上昇している。製造業に関しては、投資と貿易は世界的に弱まっている。これは中国が過剰債務を減らすためにここ数年とってきた措置など様々な要素が影響している。一部は貿易摩擦による供給網への不確実性かもしれない。また、ボーイング737の問題や原油安が投資の減少に寄与しているかもしれない」

「世界中で製造業は弱いが、サービス業では成長がみられ、これが低い失業率や、雇用創出、賃金の上昇につながっている。このほかに世界の経済成長や貿易を巡る懸念がある。こうした全体像を前に、我々はリスクを認識し、これらのリスクが見通しに対して影響を与えるかを注視していく」

――利下げはどのような効果があるのか。

「我々は、経済活動を支えるために政策手段を活用することを約束しており、様々な経路を通じて経済活動を支える。金利政策は需要と事業投資を支えることができると信じている」

――米大統領のFRBへ批判についての考えは。

「選挙で選ばれた人について公的にも私的にも議論しない。私たちは使命を遂行し、直接的な政治介入から独立性を維持することに全力を注いでいる。この独立性は経済と米国の双方に貢献してきた重要な特性だ」

――フェイスブックが今週発表した「リブラ」について、FRBの経済に対する影響力を弱体化させる可能性について懸念しているか。発表前にフェイスブックの誰かと話をしたか。

「デジタル通貨が中銀の通貨に取って代わるのは、程遠いと考えている。デジタル通貨はまだ初期段階にあり、暗号通貨やデジタル通貨によって中央銀行が金融政策を実施できなくなるということはあまり懸念していない。フェイブックは彼らの計画に関して議論するために様々な世界の規制当局を回っており、それには我々も含まれている。我々は、金融テクノロジーに関して常に様々な民間企業と会っている。潜在的な利点もあるが、広範囲な有用性の可能性がある通貨に関してはリスクもある」

――(4~5日の)シカゴでの会議で物価目標を2%から4%に引き上げる議論があったが、どう見ているか。

「インフレ目標の引き上げは検討していない。2%は世界的な標準だ。我々の任務は物価の安定で、2%のインフレ目標の信頼性を高める方法を議論している。4%のインフレ目標は実用的な代替案とは思わない。世界中で物価上昇率が弱まる中で、中銀は物価上昇率を高めることに苦労している」

――低格付け企業への融資の拡大をどう考えているか

「銀行の保有資産のリスクを注視しているが、金融危機の時よりはリスクは大幅に低い。(レバレッジローンは)ローン担保証券や投資信託が保有している。マクロ経済のリスクではあるが、金融安定性のリスクではない」

――FRBの資産縮小の終了を前倒しにするなどの議論はあったか。

「今回の会合で決まったことはない。資産縮小は計画の最終段階に近づいている。緩和策をとる場合には、(価格の安定と完全雇用の達成という)我々の任務を達成するために資産の(増減の)方針を変更することを辞さない」

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