2019年7月22日(月)

原発の運転継続へテロ対策急ぐ 長井・次期四国電社長
四国電力 背水の変身(下)

環境エネ・素材
中国・四国
2019/6/20 7:18
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四国電力にとって電力の安定供給は、いつの時代も変わらぬ責務だ。その大黒柱、伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)はテロ対策施設整備の期限が2021年3月下旬に迫る。業界の自由化や地域の人口減などへの対応とともに、いかに原発の運転を継続し、増え続ける太陽光発電との需給を調整するのか。26日に社長昇格を控える長井啓介副社長に聞いた。

26日に社長に昇格予定の長井啓介副社長

――伊方3号機のテロ対策「特定重大事故等対処施設」の整備が期限内に終わらなければ、運転停止に追い込まれます。

「期限は延長しないという原子力規制委員会の判断を受け、今後の工程を精査している。スピード感をもって審査に対応し、建屋工事と機電工事の並行作業や夜間、休日も作業をするなどして、工期短縮が図れるよう最大限の努力をする」

「時間的な制約はあるが、安全性をないがしろにすることはしない」

――伊方3号機の運転差し止めという17年12月の広島高裁による仮処分決定はその後、異議審で取り消されたが、依然として各地で仮処分や本訴訟案件を抱えています。

「広島高裁の異議審以降、大分地裁や高松高裁などで勝訴が続いている。火山への安全性に関する判断について、大きな方向性は定着したのではないかと考えている」

「伊方3号機はこれからも四国の電力供給を支える基幹電源であることに変わりはない。伊方方式による情報公開の徹底を愚直に継続し、地域の理解を得ながら将来にわたって伊方3号機を大事に使っていきたい」

「電力の安定供給を通じて地域に貢献するという基本的な理念はこれからも変わらない。それを果たすことで信用を得て、新しい事業もできる」

――伊方1、2号機の廃炉作業は順調に進んでいますか。

「1号機は17年9月から約40年間の計画で廃止措置作業を開始した。現在は汚染の除去や管理区域外の設備の解体・撤去などを進めている。2号機は1号機とほぼ同じ内容だが、現在は国の審査を受けつつ、愛媛県や伊方町に計画を確認していただいている」

――前例のない廃炉作業では新たな技術開発が必要になります。

「国や地元企業、地元大学などとの連携を深めるため16年度に『廃止措置研究に係る検討会』を設置した。これまでに10回の検討会を開催し、防護服や除染技術の開発など8件の研究開発項目を選定した」

――電力供給では太陽光発電の増加で需給調整が難しくなってきていますね。

「四国内では現在、約250万キロワットが導入されている。導入量は今後も増加していく見込みで、より多くの再生可能エネルギーの導入を図るためにも、(事業者に一時的な発電停止を求める)出力制御にご理解していただきたい」

――電力の需給調整で、企業や家庭といった電気を使う側の設備をリアルタイムで制御する「バーチャルパワープラント(仮想発電所)」の実証試験を始めます。

「蓄電池を対象に実証試験をするが、技術的には実現可能だと思っている。だが、蓄電池が普及しないとボリューム的な効果は出てこない。将来、蓄電池の値段が下がると一気に進み出すかもしれず、どんな仕組みがよいのか実証する」

 ながい・けいすけ 1957年高松市生まれ。81年京大院工学研究科修了、四国電力入社。技術者として活躍し、経営企画なども担当。2015年常務、17年副社長。26日に社長に昇格予定。

この連載は辻征弥が担当しました。

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