2019年7月18日(木)

日韓企業が資金拠出案 韓国政府、元徴用工問題で提示
日本政府は拒否

朝鮮半島
2019/6/19 18:47
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【ソウル=恩地洋介】韓国外務省は19日、日本企業への賠償命令が相次ぐ元徴用工訴訟を巡り、日本と韓国の企業が自発的に資金を出し合い原告と和解する案を日本政府に提示したと明らかにした。日本側が受け入れるなら、日韓請求権協定に基づく2国間協議に応じる用意があるとした。ただ、日本政府はこの案を拒否。韓国側に求めている仲裁委員会の開催を引き続き求める構えだ。

韓国大法院(最高裁)は昨年10月末以降、元徴用工らが起こした3つの訴訟で、日本製鉄(当時は新日鉄住金)と三菱重工業への賠償命令を確定させた。その後、韓国政府が一連の判決への対応策を示すのは初めてだ。

しかし、河野太郎外相は19日、韓国政府が示した案についてツイッターで「韓国の国際法違反の状態を是正することにならず、受け入れられない」と拒否する考えを表明した。

日本政府は日本企業に負担を求める韓国側の案は、両国の請求権問題の完全かつ最終的な解決をうたった1965年の日韓請求権協定に反するとの立場だ。引き続き同協定に基づく仲裁委員会の開催に応じるよう求める。

韓国側の案では「日韓企業が確定判決の被害者に慰謝料相当額を支給する」とした。文在寅(ムン・ジェイン)政権は一連の判決について「司法の判断を尊重する」と主張してきた。政府の介入を避けるべきだとの従来の主張との整合性をとるため、当事者同士の和解策を打ち出すに至ったようだ。韓国鉄鋼大手のポスコなどは、請求権協定に基づき日本が実施した5億ドルの経済支援の恩恵を受けた経緯がある。

韓国最高裁は生存中の原告1人当たり1億ウォン(約1千万円)の支払いを企業に命じている。韓国外務省関係者によると、企業側の負担総額は13億6千万ウォンになる見込みで、これに支払いの遅延に伴う利子が加わる。

韓国外務省当局者の説明によると、原告側とは事前に調整しなかったという。原告の支援団体は19日に出した声明で、韓国政府の案を「被害者の声を全く反映していない」と批判。一方で「両国間の協議を開始するための措置としては評価できる」と指摘し、今後の推移を見極める考えを示した。

原告側はすでに被告企業が韓国で保有する株式などの資産を差し押さえ、売却する手続きに入っている。日本製鉄や不二越が韓国企業と合弁で設立した企業の株式は、夏以降に裁判所の売却命令が出るとの見方がある。実際に現金化された場合、日本政府は何らかの対抗措置に踏み切る可能性がある。

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