2019年8月21日(水)

法曹資格「最短6年」 法科大学院にてこ入れ

2019/6/19 17:56
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法科大学院改革の関連法が19日の参院本会議で可決、成立した。大学法学部・法科大学院を計5年で修了できる「法曹コース」の創設などが柱で、大学入学から法曹資格を得るまでの最短期間を現行の8年弱から6年に縮める。時間や学費の負担を減らし、志願者数が低迷する法科大学院へのてこ入れを図る。

法曹コースは2020年度から、法科大学院と大学法学部が教育内容などに関する協定を結ぶことで設置できる。定員は各法科大学院の入学定員の半分を上限とした。大学2年からの履修が基本で、現在の1年生が最初の対象になる。

コース生は法科大学院の基本科目も前倒しで学び、3年で大学を卒業。法科大学院の「法学既修者コース」(2年)に入学する。新制度では、法科大学院在学中に「修了見込み」で司法試験を受けることも認める。

文部科学省によると、全国で40超の大学がコース設置に関心を示しており、東京大や一橋大、慶応大は既に学生に説明した。法科大学院を持たない大学が他校と組んでコースを設置することもでき、新潟大が法科大学院を持つ神戸、中央、慶応、早稲田の各大学と協定を結ぶなど、連携の動きが出ている。

法科大学院は、司法制度改革の目玉の一つとして04年度に発足し、ピーク時で74校あった。しかし、修了者の司法試験の合格率が低迷するなどし、入学志願者は減少。廃止や募集停止が相次ぎ、20年度以降も募集を続けるのは35校に減った。

他方、法科大学院を修了せずに司法試験の受験資格を得られる「予備試験」は法曹への最短コースととらえられ、出願者が年々増えてきた。18年の予備試験組の司法試験合格率は77.6%で、法科大学院修了者の24.7%を大きく上回る。

法科大学院立て直しの一手となる今回の改革について、文科省の担当者は「予備試験から一定程度は法曹志望者を奪い返せる」と期待する。法曹コースを順調に進めば、法曹資格を得るまでの期間は大学4年で予備試験に合格した場合と同じ。一橋大法科大学院の山本和彦教授も「学生にとって法科大学院の経済的負担は大きく、(改革により)法曹への道を勧めやすくなる」と評価する。

ただ、大手司法試験予備校の関係者は「多くの学生は予備試験と法科大学院の両にらみで勉強を進める。どちらを選ぶかは読みづらい」と懐疑的だ。弁護士志望の東大1年の男子学生(20)は「早く社会に出たいので6年でも長い。大手法律事務所への就職を目指すうえでも箔がつく」とし、予備試験の合格を目指すという。

合格率が10%台で低迷している法科大学院もあり、文科省は「全校を守る考えはない」(幹部)と資金配分に差をつけるなどして事実上の選別を進める。大学関係者から「他大学と連携して法曹コースを設置できることになり、不振の法科大学院が撤退しやすくなる」との指摘もあり、淘汰はさらに続きそうだ。

大学法学部からの一貫教育は、独立した法曹養成機関を目指して生まれた法科大学院像の転換となり、「司法試験予備校化が進む」(早大法科大学院の須網隆夫教授)との批判がある。非法学部出身者を受け入れる「未修者コース」の存在がかすむことへの懸念の声もでている。

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