ドラギECB総裁、トランプ氏に反撃「何でもやる」

2019/6/19 17:48
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【シントラ=石川潤】ポルトガルのシントラでの討論会に参加した欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は18日、物価2%実現のためには「あらゆる手段を用いる」と語った。トランプ米大統領が通貨安誘導だと批判していたが意に介さず、追加緩和の準備を進める姿勢を鮮明にした。市場では金利低下とユーロ安が進み、利下げや量的緩和を織り込み始めた。

18日、ポルトガル・シントラで講演する欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁(ECB提供・共同)

ドラギ氏が何でもやると強調したのは、司会者からトランプ氏からの批判への感想を求められた直後だった。ドラギ氏は18日朝の講演で追加緩和を示唆したが、トランプ氏がすぐさまツイッターで「通貨ユーロを下落させ、米国との競争を不当に簡単にしている」と反発していた。

ドラギ氏は、追加緩和を検討するのは物価の2%上昇目標の達成のためで「為替相場を目標にしていない」とも語った。物価上昇のペースが落ちるなか、状況が改善しなければ追加策を講じるのは当然で、通貨安誘導との批判は当たらないというのがドラギ氏の考えだ。

ドラギ氏の強気の発言の裏には、討論会のほかの参加者からのトランプ氏への批判もあった。米連邦準備理事会(FRB)の副議長だったフィッシャー氏はドラギ氏の発言の前に「政府は金融政策を指示できない」と繰り返し、中央銀行の独立性を重んじずFRBに利下げを求めるトランプ氏を強く批判していた。

「深刻なのは、FRB議長が次の大統領任期中に交代になることだ」。フィッシャー氏は仮にトランプ氏が大統領に再選されれば、同氏に近い議長が選ばれる可能性があり「とても異質な金融政策」につながりかねないとの認識も示した。

ドラギ氏の追加緩和も辞さずという趣旨の発言に驚いたのはトランプ氏だけではない。長期金利の指標となる10年債利回りはフランスとオーストリアで初めてマイナスに転じ、ドイツも過去最低を更新した。ユーロも対ドルで大きく下落した。

ドラギ氏は6月6日の理事会後の記者会見でも追加緩和をにおわせていたが、不測の事態が起きれば対応するという説明だった。ただ、今回は「改善がなければ、追加の刺激策が必要になる」と断言した。いつ追加緩和があってもおかしくないところまで警戒レベルを引き上げたことが、市場を動かしたといえる。

ECBは利下げを検討するFRBの動きもにらみながら、7月にも追加緩和に踏み切るとの見方も出ている。ドラギ氏は選択肢として、金融政策の先行き指針(フォワードガイダンス)の強化、量的緩和政策の再開、政策金利の引き下げを挙げている。

量的緩和政策は2018年12月に終了したばかりだが、ドラギ氏は「まだかなりの余地がある」と踏み込んだ。政策金利を下げる場合には、マイナス金利の副作用軽減策もセットで示される可能性が高い。

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