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変容するポピュリズム(大機小機)

地球上に広がっているポピュリズム(大衆迎合主義)が微妙に変化している。1つは関心の対象が実利的・経済的欲求から非経済的欲求に移り、軸足が少しずつ右に移動している点である。もう1つは主張が総じて急進的、過激になっている点だ。

欧州連合(EU)離脱問題で大揺れの英国ではメイ首相が保守党党首を辞任、事実上の次期首相を選ぶ党首選挙が始まった。圧倒的な強さを見せているのがEUとの合意無き離脱も辞さない強硬論者のボリス・ジョンソン候補だ。

5月末の欧州議会選挙は複雑な結果を残した。だが、やや乱暴に総括すれば穏健派の退潮、急進派・新興勢力の勝利である。英国の政党ではEU離脱を前面に掲げたブレグジット党が躍進した。保守党党首選の過激化はこうした空気の変化を映している。

フランス政治を戦後長く担ってきた中道左派の社会党はもはや見る影もない。欧州議会選挙では新興のリベラル会派とともに右派の「国民連合」が躍進ぶりをみせつけた。

ドイツもキリスト教民主同盟(CDU)や社会民主党(SPD)といった中道勢力が後退した。伸びたのは、環境政党の「緑の党」と右翼政党の「ドイツのための選択肢」だった。

ただ、ポピュリズム政党が一様に伸びているわけではない。当然のことながら濃淡の差はある。財政バラマキ色の強い左派系ポピュリズム政党は停滞気味である。人心をつかんでいるのは排外的な右派ポピュリズムである。イタリアの欧州議会選で、バラマキ型の「五つ星運動」が低迷、右派「同盟」は財政依存色を残しながら移民規制を強力に展開して第1党に躍り出た。

極右政党が急伸を続けるデンマークでは、先の総選挙で中道左派の社会民主党が勝利した。勝因は空気の変化を巧みに捉えた社会民主党が強硬な移民規制にかじを切ったためと言われている。

米トランプ政権の外交戦略で目立っているのは対中強硬路線である。覇権をかけ返り血を浴びても中国に勝つことを優先する。オバマ政権時代の融和路線は甘かったという声が今や支配的だ。摩擦激化で市場は揺れ世界経済の悪化は必至だが、米議会も党派を超えて強硬路線を支持する。

歯切れの良い、急進的・過激な主張には時に人々を酔わせる魅力がある。(横ヤリ)

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