米中貿易交渉を再開へ、トランプ氏「優れた取引必要」
【ワシントン=鳳山太成】トランプ米大統領は18日、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と電話協議し、28~29日に大阪で開く20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせて会談すると明らかにした。会談前に貿易交渉を再開する。トランプ氏は「優れた取引が必要」と述べて譲歩を促した。意見の隔たりは大きく対立緩和に向かうかは予断を許さない。
ホワイトハウスで記者団に「中国は(米国の制裁)関税を望んでいない。多くの企業が関税を避けるため中国から流出している」と指摘し、中国が合意を望んでいると主張した。「習氏ととても素晴らしい関係がある」と語り、中国の出方を見極める考えを示した。
トランプ氏は、両政府の担当者が19日から具体的な協議を再開すると説明した。首脳会談の結果次第で、制裁関税の対象をほぼすべての中国製品に広げる「第4弾」の発動を先送りするかどうかは明言を避けた。
米中協議の責任者を務める米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は18日の議会上院公聴会の証言で第4弾関税について「すべてはトランプ氏次第だ」と言及を避けた。知的財産侵害といった不公正な貿易慣行を批判するなど中国への厳しい姿勢は崩さなかった。
米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は18日、記者団に「知的財産侵害や技術移転の強要、サイバー攻撃などすべての問題で構造改革を求める」と述べ、引き続き中国に構造問題で譲歩を促すと説明した。
米政権は中国が閣僚級協議での合意事項を覆したと主張し、5月10日に2000億ドル(約22兆円)分の中国製品に対する関税の上乗せ幅を従来の10%から25%に引き上げた。中国も報復関税を拡大し、閣僚級協議は同日を最後に開いていなかった。
18日の米株式市場は米中摩擦への警戒感が後退し、ダウ工業株30種平均は前日比353ドル高で取引を終えた。