2019年8月23日(金)

神明のM&A焦点 傘下の元気寿司とスシロー統合白紙

2019/6/19 6:30
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コメ卸最大手の神明ホールディングス(HD、神戸市)が18日、傘下の元気寿司と回転ずしチェーン最大手、スシローグローバルホールディングスの経営統合を白紙にすると発表した。国内のコメ需要が低迷する中、神明は統合で海外を含む販路拡大の成長戦略を描いていた。両社の統合が白紙になり、新たなM&A(合併・買収)を含めた戦略の練り直しに注目が集まりそうだ。

神明がスシローと元気寿司の統合交渉を進めると発表してから2年弱。白紙撤回した背景の一つには両社の事業戦略の違いが影響した。

元気寿司は筆頭株主だった神明が2015年、TOB(株式公開買い付け)で子会社化した。同社は高速レーンでできたてのすしを提供する「回転しない寿司」への特化を推進。一方、スシローは回転レーンのある回転ずしの楽しさも重視する。ブランド戦略に差があった。

スシローの店舗

スシローの店舗

海外戦略もすれ違った。元気寿司は海外で約200店舗を構えるが、このうち約180店がフランチャイズチェーン(FC)店舗。「現地のことを一番分かっているのは現地の人」(同社)として、現地のFCパートナーの開拓と支援に注力している。

他方でスシローは日本でのコントロールが比較的容易な直営店を運営していく方針で、方向性を一致させられなかった。「アジア地域における店舗展開方式の違いなどが明確となった」(神明)

もっとも経営統合は一方の業績が落ち込むなどした場合に実施する「救済型」が多い。だが、スシローの売上高は18年9月期が前の期比12%増の1748億円。元気寿司も19年3月期に5%増の420億円となり、業績は好調だ。

「魚べい」ブランドの元気寿司の店舗

「魚べい」ブランドの元気寿司の店舗

元気寿司は「回転しない寿司」による差異化が奏功したとみる。両社が上場企業であることも統合を難しくしたもよう。各株主への対応など神明の主導的立場にも限界があったとみられる。

神明はスシローへの出資比率を引き下げるものの、重要な取引先としてコメやすしネタを提案をしていく考え。

13年にも元気寿司と「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイトとの経営統合を目指したが、頓挫した。これを受け、スシローとの統合を模索していた。

コメの国内消費縮小への危機感は強い。1人当たり年間消費量は1962年度のピーク時の半分以下に減った。海外戦略では米国やアジアに子会社を持ち販路を広げてきた。中国向けの自社精米が可能になったことで輸出を増やす目標を掲げる。またコメ消費だけでなく食の「川上」である農家支援も強化する。

神明は外食や食品卸への出資や買収を通じて成長を遂げてきた。2019年3月期の売上高は7%増の2641億円。新興企業との連携を模索しながら新たな成長戦略を描こうとしている。

(沖永翔也)

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