2019年8月25日(日)

東京と違うから面白い 星野リゾート代表 星野佳路さん
未来像

関西タイムライン
コラム(地域)
2019/6/19 7:01
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 ■全国各地の温泉旅館やホテルの再生で事業を伸ばし、インドネシアや台湾など海外にも進出する星野リゾートの星野佳路代表(59)。関西でもすでに京都市の「星のや京都」など2カ所で宿泊施設を運営し、2022年春には大阪市でも「OMO7 大阪新今宮」を開業する。

 ほしの・よしはる 1960年長野県生まれ。慶応大学卒業、米コーネル大学ホテル経営大学院修了。91年に星野温泉(現・星野リゾート)4代目社長就任。運営に特化する戦略で経営不振のホテルや旅館を次々再生。海外にも進出している。

ほしの・よしはる 1960年長野県生まれ。慶応大学卒業、米コーネル大学ホテル経営大学院修了。91年に星野温泉(現・星野リゾート)4代目社長就任。運営に特化する戦略で経営不振のホテルや旅館を次々再生。海外にも進出している。

新今宮への進出は驚かれたが、関西国際空港や大阪城、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)などへのアクセスの良さに着目した。東京と変わらない梅田などに比べ、新今宮では新世界や通天閣など大阪らしい魅力に触れられる。都市観光客だけを狙うOMOにふさわしい。ホテルや庭は新今宮駅のホームや通過する電車から真正面に見える。星野リゾートとしては初めて外部の視線を強く意識し、四季折々の良さを表現することで、この駅に降りてみようと思わせたい。

 ■奈良市の旧奈良監獄を活用した高級ホテルや、奈良県明日香村と京都府和束町でも進出構想を練っている。

関西では新今宮も含めて進行中の4プロジェクトで当面は手いっぱいだ。万博などを控える大阪はアジアでトップ10の観光都市になる可能性がある。しかし万博は終わるし訪日外国人も永遠には伸び続けない。万博開催までにイベントに頼らない観光のコンテンツを育てるのが大事。東京と違った大阪や関西の魅力を求めて世界の人が来ているのに、地元が自覚していない。

京都は観光こそが自分たちの主要な競争力という意識を持っている。しかし市内の一部はオーバーキャパシティーになっており、観光客の満足度を落として成長を妨げる恐れがある。どうしたら周辺観光地へうまく分散できるか。京都に4泊させるのか、2泊は奈良に行ってもらうのか。京都と奈良が合わされば、世界の需要を一層取り込める。

奈良は歴史の深さの割には宿泊者が少なく過小評価されてきた。まず泊まる理由をつくることが大切。「食」が弱いと言われるが、北海道のトマムなど星野リゾートが進出してきた場所に比べると、歴史も食材もたくさんある。神戸は星野としては勉強不足で、詳しくない。大阪、京都、奈良が周辺にあり大変とは思うが、だからこそ強くなるチャンスかもしれない。

 ■国内外の観光地に詳しい星野さん。関西の魅力と課題も実感している。

東京が日本の観光をリードしているが、文化も食も違う関西があるのが日本の観光の強みだ。東京になろうとしない大阪、古い歴史を持つ京都、さらに昔の遺跡が残る奈良など、ある分野は東京に負けない。しかし連携が弱い。長期的に世界の観光という視点で考えると、関西を一つとしてどう連携を取るかだ。

関西空港のあり方もそうだ。関空は国内最高の空港だと思う。関空に国際便を集中させて京都や大阪、神戸、奈良へのアクセスを圧倒的によくすべきだ。外国人観光客から東海道新幹線は高いという声はあるが、遅いというクレームはない。東京から名古屋へリニアモーターカーを走らせるのがいいのか。それよりも関空と大阪、京都、奈良をリニアで結べばすごい連携になる。加えて、日本の玄関口である関空、成田と地方空港を格安航空会社(LCC)網で結ぶ必要がある。

もし日本で統合型リゾート(IR)をやるなら、マカオとシンガポールに負けないものにしないと、じり貧になるだろう。ギャンブル依存症の心配はわかるが、需要を下げるような規則や条例を作ると投資額は落ちてつまらないものになる可能性は十分ある。星野リゾートは宿泊施設の運営会社なので、そうした話なら検討するが、その他の部分はノウハウも意欲もない。

(聞き手は編集委員 宮内禎一)

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