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五輪金、目標で通過点 ブレークダンス・半井重幸(下)

2019/6/23 6:30
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半井重幸と接する周囲はたいてい、高校生離れした社交性に驚かされる。語れば明朗快活、礼儀も欠かさない。キッズダンサーとして大人に囲まれて育った、という理由だけではないだろう。「物事にどんな真意があるのだろうとか、深く考えるのが好きだった」。新興競技をアウトロー視する偏見を氷解させる雰囲気を、17歳にしてまとう。

動いた瞬間に「かっこいい」「違う」と分かってもらえるダンサーをストイックに目指す

動いた瞬間に「かっこいい」「違う」と分かってもらえるダンサーをストイックに目指す

競技との出合いは幼稚園で始めたトランポリン。指導者と選手の関係がかっちりした伝統的な五輪競技が入り口だった。「やりがいもあったし、もっとうまくなりたいと」。中途半端は大嫌いな性格。真剣に取り組んだが、ともにダンサーになった姉、彩弥の付き添いで7歳で訪れたダンススクールで目にした対照的な世界が運命を変えた。

「最初は興味がなくて、『はよ帰ろ』という感じだった」と母の路美。しかし「ゼロから一を作り出す」という世界観にのめり込むのに時間はかからなかった。見よう見まねで逆立ちし、仲間に入ると夢中になった。「『こうしなさい』と(強制的に)言われると逃げたくなる性格」という半井は小学校高学年で並行してきたトランポリンを諦め、ブレイキンに絞り込む。

自由の半面、自ら律する心がなければ戦えない。11歳で海外挑戦、14歳でプロダンサーとなった後も「当たり前のことはしっかりしてから、やりたいことをやる」と決めている。過密スケジュールの日々でも高校は普通科に通い、練習は午後8時を過ぎてから。海外が主戦場のプロスポーツ界では珍しい、普通の高校生としての生活は「何事もきちんとやる人が本当に大切なこともできる人と思うから」。周囲の大人の振る舞いからも学んだ哲学だ。

競技の枠を超えたスター性

2017年には世界最高峰の大会でベスト4、今年4月のアーバンスポーツの総合大会「FISE」(広島市)は連覇を飾った。パリで五輪種目になれば金メダルは手の届く位置にある。ただ、「究極の目標だけど夢にはしたくない。一つ一つを『通過点としての目標』にすれば、たどり着いた後も減速せずに速く走り続けられるから」。

趣味の絵画の腕前はプロ顔負け、他の業界との交流にも尽きない興味を抱く。競技の枠を超えたスター性も感じさせる17歳は経験、技術面で「課題はたくさん」と言いつつ、目指すものは一つ。「動いた瞬間に『かっこいい』『やっていることが違う』と分かってもらえる、内側からにじみ出るものを持つB-Boy(ダンサー)になる」。ひたすらストイックに高みを目指している。=敬称略

(西堀卓司)

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