2019年7月17日(水)

高まる「生乳」北海道依存、初の400万トン超えへ

サービス・食品
北海道・東北
2019/6/18 10:09
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北海道で牛乳やバターの原料となる生乳の年間生産量が初めて400万トンの大台に乗りそうだ。乳業会社などで構成するJミルク(東京・千代田)の19年度生乳需給見通しによると、北海道の生乳生産は406万トンで前年度比2%増となる。北海道が全国の55%を占める一方、他の都府県では生産減が止まらない。生乳の生産基地、北海道への依存が強まっている。

小野寺牧場では100頭の乳牛を飼育している(北海道士幌町)

小野寺牧場では100頭の乳牛を飼育している(北海道士幌町)

北海道は18年度の乳用雌牛の出生頭数が過去10年で最も多く、2歳未満の若い牛の頭数が増えた。19年度後半にかけて搾乳牛が増加し、生乳生産量も上向きそうだ。

北海道では広大な土地を活用し、60頭以上の生産規模を持つ酪農家が半数近くを占める。18年の酪農家の数は2%減ったものの、飼育頭数は2%増えて大規模化が進む。特に十勝地方の18年度の生産量は地震の大規模停電の影響を乗り越えて3%増の118万トンと、8年連続で過去最多を更新した。頭数増に加え、飼育環境の改善などで1頭当たりの生産量が伸びている。

全国の生乳生産は734万トンで前年度比1%増と4年ぶりの増産となる見込みで、これも北海道の増産が大きく貢献する。北海道以外の都府県産は前年度より1%減産する見通しで、ウエートの大きい北海道の増産が国内生産全体を底上げする構図だ。

生乳は首都圏など大きな消費地に近い地域から飲用に回され、北海道産は保存がきく加工用の原料として使うすみ分けがあった。ただ首都圏近郊で生乳の生産が細り、飲用乳の需要に追い付けない。19年度に北海道から道外へ運び出す生乳の移出量は前年度比6%増の52万トンと、16年ぶりに50万トンを上回る見込みだ。

生乳を安定して運び出すため、ホクレン農業協同組合連合会(札幌市)は4~5月に釧路港と茨城県の日立港を結ぶ貨物船「ほくれん丸」と「第二ほくれん丸」の輸送能力を増強した。シャシーと呼ぶトレーラーの荷台換算で元の130台から160台に高め、積載能力を2割伸ばした。

北海道以外の都府県では酪農家と飼育頭数の減少が同時並行で進む。北海道以外の酪農家は18年時点で前年から6%減り、9540戸まで落ち込んだ。20年前と比べて3分の1の水準だ。土地が限られる都府県では40頭以下の小規模生産者が7割を占め、生産コストは割高になる。休日が少ない労働環境もあり、家業の廃業や縮小が相次ぐ。

近年は猛暑に弱い乳牛が生産量を落としてしまったり、台風で輸送が途絶えたりするケースが頻発している。生産者と乳業会社が一体となって対策を考える必要がありそうだ。

(山中博文)

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