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民族の言葉、新聞で復興 アイヌタイムズ創刊22年

アイヌ語を現代に復活させようと「アイヌ語ペンクラブ」が民族の言葉だけの記事で新聞を作り続けている。創刊22年を迎えた「アイヌタイムズ」は国内外に購読者を獲得。クラブを設立した北海道平取町の「萱野茂二風谷アイヌ資料館」館長、萱野志朗さん(61)は「読む人がいなくなるまで続けたい」と意気込む。

「アウタリ オピッタ ウトゥラ・アン ワ アリキキ・アン ロ!(仲間たちみんなで一緒に頑張りましょう!)」

1997年3月20日の創刊を記念して萱野さんが寄せた言葉には、アイヌ語継承への思いがこもる。アイヌ民族の人ら約10人で時事問題や市井の話題などを寄せ合い、A4サイズで12ページを年2~4回発行。今年1月に第70号までこぎ着けた。

アイヌ民族は明治時代以後の同化政策で日本語を強制され、文字を持たなかったこともあり言葉は急速に廃れた。国連教育科学文化機関(ユネスコ)は「極めて深刻」な状態と分類している。アイヌ初の国会議員を父に持つ萱野さんも、新聞製作に関わる前は言葉をほとんど知らず、単語の知識はせいぜい100語。「1~10の数も数えられなかった」

転機は87年9月、カナダの先住民族の村を旅行で訪れたときだ。地元の小学校で週1回、民族の言葉を教えていたが、話せる人は80歳を過ぎた高齢者だけ。日常会話はすべて英語になっていた。

「私たちが置かれている状況とそっくりだ」。言語の大切さに気づき、翌年の初めには勤めていた東京の会社を退職。地元に戻り、父が開いていたアイヌ語教室に携って勉強を始めた。

クラブ設立のきっかけは新聞の学芸欄だ。「1言語に1つのメディアがあっていい」という記事を読み「アイヌ語の新聞を作ろう」と思い付く。すぐに知人らに呼び掛け、96年9月、札幌市で設立総会を開いた。

クラブの名前は日本ペンクラブにちなみ、規約は「アイヌ語による表現、出版を普及させること」。創刊当初は毎号千部を発行し、海外からの購読も。勉強に役立つように1号ずらして日本語訳を載せる工夫も凝らす。

電子書籍でも読めるようにしたが、近年は購読者数が減少。道内のほか、1都2府15県を含む約80人まで落ち込んだという。それでも萱野さんの夢は大きいままだ。「アイヌ語が第2公用語になれば堂々としゃべれる。そうなったら面白い」

札幌市北区の「サッポロ堂書店」で一部300円で店頭販売しているほか定期購読も可能だ。〔共同〕

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