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タンカー映像公開で高まる緊張 米、イラン関与と非難

【ワシントン=永沢毅、テヘラン=岐部秀光】中東のホルムズ海峡でのタンカー攻撃を受け、米国とイランの緊張が再び高まってきた。米軍はタンカー攻撃にイランが関与したとする映像を公開し、イラン側は強く否定する。仲介役となった日本の外交努力にもかかわらず対話の機運はそがれ、偶発的な軍事衝突のリスクがくすぶり続けている。

中東を統括する米中央軍は13日夜、イランがタンカーの攻撃に関与した証拠とする映像を公開した。精鋭部隊であるイラン革命防衛隊の巡視艇が、攻撃を受けた日本のタンカーに近づき、船体に吸着した不発の機雷を除去した様子をとらえたというものだ。

トランプ米大統領は14日のFOXテレビとのインタビューで、米軍が公開した映像に触れ「(攻撃は)イランの仕業だ」と非難。「彼らは証拠を残したくなかったんだ」と指摘した。イランが証拠を隠滅するために不発弾を回収したとの疑いを強める。

これに対し、イラン側は関与を強く否定している。13日に公表した声明で自らの関与について「根拠がない」とし、「米国の無謀で危険な政策と行動を防ぐよう国際社会に呼びかける」と訴えた。ザリフ外相もツイッターでタンカーの事件を「疑わしい」と主張した。イランを敵視する国や組織がイランを窮地に追い込むために工作した可能性があるとの警戒をにじませる。

ペルシャ湾では5月にもアラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアのタンカーが破壊される事件が起きた。米メディアではこの時と今回の事件で使われた爆弾との類似性を指摘する見方がある。イランが自身の傘下にある武装勢力や民兵組織を完全にコントロールできていない可能性もあるが、真相は明らかになっていない。

今回のタンカー事件を機に対話の機運は後退している。「イランとの取引を考えるのは時期尚早だと思う」。トランプ氏はツイッターにこう投稿し、当面の対話に否定的な立場を示した。

14日、中国、ロシアなど8カ国でつくる上海協力機構(SCO)の首脳会議に準加盟国として参加したイランのロウハニ大統領は「米政権は国際ルールを破り、世界を脅威にさらしている」と訴え、米国が離脱したイラン核合意を履行していると強調した。同会議は核合意の維持を共同宣言に盛り込み、イランを擁護した。

イランは米国との対話の事実上の条件として、米国によるイラン産原油の全面禁輸の解除を要求している。ロウハニ師は安倍首相との会談でその考えをトランプ氏に伝えるよう依頼した。ただ、新米国安全保障センターのネイル・バティーヤ研究員は「トランプ政権はイランが交渉のテーブルに着くまで、圧力を強めるのが基本路線だ」と指摘する。

ロウハニ師は5月8日、イラン核合意を巡って60日以内に欧州などとの協議が進展しなければ、核合意で制限されてきた高濃縮ウランの製造を再開すると警告していた。その期限が7月上旬に迫っている。

だが、欧州がイランを満足させられる対応策を示すのは難しい情勢だ。イランが求める原油販売や金融取引の再開について否定的態度を取り続ける米国にも配慮せざるを得ないからだ。高濃縮ウランの製造を巡り、米国とイランの関係が一段と悪化するリスクがある。

米軍はすでに原子力空母や戦略爆撃機をペルシャ湾付近に派遣している。米・イラン双方とも戦争は避けたい意向を示しているが、周辺海域で偶発的な衝突が起こる可能性も排除できなくなりつつある。

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